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動物園写真家・阪田真一さんが厳選!個性的な撮影ができる、ディープな動物園

展示に個性があったり、特定の動物を深掘りできたり……。ここに行けば、ひと味違った写真が撮れる箱推し動物園を、動物園写真家・阪田真一さんが厳選!

photo: Shinichi Sakata / text: Yuriko Kobayashi

〈豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)〉

広大な敷地で、動物たちがのんびり過ごす姿を見られるのが最大の魅力。とくにアジアゾウの展示では、日本最大級の放飼場とプールが設けられ、群れで生活するアジアゾウの暮らしぶりがよくわかる。

「キリンの放飼場はアフリカのサバンナ気候地帯が再現されていて、これまた広大!背の高いキリンは、どうしても下から見上げる形になりがちですが、ここでは展望デッキに上って、上から見下ろすことができます。キリンの顔を間近に見たり、その大きさを実感したり、新鮮な体験ができますし、もちろん写真も、これまでにないアングルで撮影できます」。

クマやサルなど知能が高い動物には、振ると食べ物が出てくる道具などが与えられていて、ユニークな動きが見られることもあるとか。

「周囲の風景も生息地に近い雰囲気になっているので、引きで撮影したときもいい絵になります。生き生きと、自然体の動物を撮影したいという人は、ぜひ訪れてみてください」。

〈ネオパークオキナワ〉

一歩足を踏み入れると、まるで原生林に迷い込んだような錯覚に陥る、超プリミティブな動物園がこちら。園内に入ると驚くほどの鳥の群れがいて、こちらに歩み寄ってくる。動物園といえば展示場やケージの中の動物を見て回るのが一般的だが、〈ネオパークオキナワ〉では広大なゾーンに丸ごとネットをかけて、そこに主に鳥たちを放つ「フライングケージ」方式をとっている。

「来園者は『アマゾンのジャングル』やアフリカの『トートの湖』など、ゾーンの中を自由に歩き、何も隔たりがない状態、つまり「ゼロ距離」で動物たちを観察できます。歩いていると、目の前に見たことのない鳥がちょこんと座っていたり、頭上を羽ばたいていたり。いわゆる都市型動物園では考えられない体験ができる動物園なのです」

鳥のほかにもアマゾン川に生息する巨大魚、ピラルクーが泳ぐ姿を見られる「水中トンネル」や、クジャクなどを展示する「オセアニアの花・鳥」エリアも。

「普段とは違ったアングルや構図で撮影できるのが魅力。グッと寄ったショットなど、思い切った撮影をしてみてください」

〈神戸市立王子動物園〉

〈王子動物園〉はコアラをはじめスターアニマルが多数見られる動物園。「なかでも、ぜひ注目していただきたいのがフラミンゴ。広い敷地で、ベニイロフラミンゴとヨーロッパフラミンゴ約200羽が飼育されていて、その数の多さにまずびっくりします」

注目には、くちばし同士をくっつける行動。その形がハートに見えることから、「フラミンゴハート」と呼ばれている。鮮やかなピンクのフラミンゴハートは、絶好のシャッターチャンスだ。

春には、かわいいヒナたちの姿も見られるそう。

「狙いたいのは、夕日をバックにした、きらびやかな水浴びシーン。ちょうど閉園時間のタイミングになってしまうのですが、フラミンゴエリアはゲートのすぐ側なので、ギリギリまで粘れるのも〈王子動物園〉のいいところです。

ゾウやコアラ、カバなど、さまざまな動物たちの『食事時間』が公開されているので、かわいい『もぐもぐタイム』を逃したくない人も、ぜひ」

AQUARIUM×ART átoa(アトア)

最後に、水族館も番外編としてご紹介。神戸ポートミュージアムに2021年にオープンした〈アトア〉は、デジタルアートや舞台美術を駆使し、アクアリウムとアートを融合させた新感覚の劇場型アクアリウム。

「霧が立ち込める樹海の森で、淡水魚やアルダブラゾウガメ、両生類に出合える『精霊の森』ゾーンや、ミストとレーザーが織りなす光のベールに包まれた日本最大級の球体水槽が見られる『奇跡の惑星』など、ゾーンごとに幻想的で独創的な世界が繰り広げられます。そうした照明もうまく利用すると、これまでにない水族館の写真が撮れるはずです」

水槽の撮影は写り込みや照明の暗さなどがあって難しい場合があるので、まずはスマートフォンで撮影してみるのがおすすめだとか。

「〈アトア〉は下から見上げる水槽があるので、逆光を利用して魚影のシルエットをカッコよく撮影できるのも魅力です。4階の屋外にある『空辺の庭』にはコツメカワウソやカピバラ、フンボルトペンギンもいるので、自然光での動物撮影も可能。コンパクトに様々な生きものを撮影できる、お得なスポットです」