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菅原 敏が偏愛する名酒場〈Nicolas〉

作家、演出家、音楽家。各界のアニキが偏愛する名酒場。

Illustration: Fukiko Tamura / Edit: Asuka Ochi

Nicolas(三軒茶屋)

遅めの時間にふらりと行くと、小説家、音楽家、イラストレーターなど、いつもの常連さんがほろ酔いで並んでいるカウンターですが、テーブル席では禁断の夜の甘味を楽しむ人たちでも賑わっています。夜中にピアニストがポロポロ弾き出したり、隣り合った席のふたりが一緒に作品を作ったり、カフェがそもそも持っていた文化的な酒場の趣を今に残すお店だなあと。

遅い時間でも美味しい食事と自然派のワインたちが並ぶ幸せもニコラならでは。世間の流行りを軽やかにいなしつつ、シェフとソムリエ、ふたりの優しく静かな矜持はお店のいたるところに溢れていて、壁中に並ぶ本の背表紙を辿っていると、ボリス・ヴィアンの小説『日々の泡』で料理を振る舞うシェフ・ニコラの姿がカウンターの向こうに見えたりします。

並木通りを望む窓ガラスには以前イベントで書いてくださった私の詩が残っていて、景色に重なる一編が嬉しくもあり。私にとって、特別な酒場です。