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商談と旅行を共にする30年来の相棒。〈TUBE〉デザイナー・斎藤久夫が語るマイバッグ

大人たちが普段から使うバッグは、一体どんなものだろう?仕事道具や必需品など、面と向かっては聞きづらい、〈TUBE〉デザイナー・斎藤久夫さんに中身の話も併せて語ってもらった。

photo: Takeshi Abe / text & edit: Ryoko Iino

30年以上使い続ける相棒は、今でも商談と旅行の友

鞄を持つのはサラリーマン。僕が学生の頃にはそんなイメージがあり、実際に多くの若者が手ぶらでした。だから今もバッグを使うのは、生地や洋服のサンプルを持ち歩く商談か、旅行の時だけ。このレザーのケースは、シャツが3、4枚入るくらいで、1泊2日程度にちょうどいい。確か40年代のもので、30年以上前にロンドンの骨董屋で購入しました。

フロントに底の部分がシームレスになったポケットが付いているのだけど、今はこんなに手の込んだ作りはなかなか見かけない。佇まいがよく、手放せないでいます。そこにセットで使うのが、約40年前にアメリカ西海岸のマーケットで買ったガーメントケース。これだけを服を入れる鞄として持つこともありますね。60年代のアメリカ軍のもので、当時の所有者の名前がスカジャン的ノリで刺繍してあります。

昔は飛行機の機内に服を掛けるラックがあってね。だからこのケースに無理やり20kg分くらいの服を詰めて、タダで機内に持ち込んでいました。

ヴィンテージのガーメントケース
レザーのケースにはサテンの裏地が付き、婦人ものと予想される。「靴と違い、どうもバッグの手入れはサボってしまう」と斎藤さん。