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スタイリストの岡部文彦が木こりになったワケ

「ブルータス」やファッション雑誌などで活躍していたスタイリストの岡部文彦。バリカンズを結成し、ゲリラガーデニング活動など個性的な動きを見せていたが、今は林業従事者として修業しているという噂を小耳に挟んだ。なぜ、いま林業?本人の言葉で綴ってもらった。

Photo&Text: Fumihiko Okabe

キッカケは趣味の釣りだった。

26年前、大都会・東京に上京して、憧れだったスタイリストにもなれ、都会人になり切っていると、勘違いしていたことに気がついたのが5年前。やっぱり自分には幼少期の原体験が脳の栄養分に必要だと、数年前から趣味として渓流釣りを始めた。

関東近県の源流域に行くようになってから、雨量の多さと渓流の異変が気になった。それは放置人工林が原因なのではないか?なんて素人ながら思うようになったことがきっかけで林業という職業に興味を持った。

林業は人気がない俗にいう“3K(きつい、危険、汚い)”の代名詞的お仕事だっていうイメージがあったので、尚更やりがいがあるなぁという天の邪鬼思考も働き、いつかは山暮らしをして生きていきたいと常々思っていたこともあり、移住するなら山奥、仕事は林業とすでに決めていた。

地元岩手県で林業の修業中。

地域おこし協力隊の制度を利用して、我が地元でもある岩手県の山間部、岩泉町に単身移住して、今現在広葉樹林業の現場を地元の林業会社の大先輩方から学んでいる真っ最中。

日本の山は全体的に針葉樹の人工林が蔓延していて、その放置され続けた針葉樹の山林を変えていかないと山の環境もよくならないのではないか?管理し直さなければ、もっと災害は増えていく一方なのではないか?と今もなお感じている。

しかし、自分が始めた林業は、岩手の広く自然豊かに恵まれた山域の広葉樹林業なわけで……。

バックホー(建設機械)で山を削り作業道を山に張り巡らせ、雑木と呼ばれるさまざまな落葉広葉樹の樹木を皆伐して、大型トラックで集材し、パルプ工場へ持っていく日々。果たしてそれが理想的な林業なのか?疑問に思う日々にもなっているのが現状。

新しい林業のカタチって?

落葉広葉樹の山林を上手に活かして山も守っていける、そんな林業方法はないものか?と勉強中。

人工林が多い中、落葉する広葉樹林が多い岩泉町の山はすでに手を加えない方がよっぽど豊かなのではないか?その山の広葉樹を皆伐することは自然環境にとって、問題はないのか?パルプ以外に広葉樹の最大活用はないものなのか?今、学ばなければいけないことはそこ。

広葉樹林業の理想を“わかっている誰か?”から学んで、知識と技術を磨きたい。戦前の、昔ながらの豊かで栄養満点の生き生きした里山に戻せる、山の知識が豊富な山守になりたい。それが目標です。

いずれは、自分が住みたい山域に自分で伐った樹木を製材して、小さな家と作業小屋を建てて、栄養満点の山に囲まれながら暮らしていけたらなぁというのが憧れなのだけれど、やっぱり、林業をするのは簡単ではなく、自伐型林業という理想的小規模林業もあるけれど、それなりに資金がなくてはやっていけないのが現実な気がしております。

林業で稼ぎたい!と切に思っているわけではなくって、気持ちのいい里山を維持し、その麓で気持ちいい生活の場をつくることができたなら、老後もきっととても気持ちよくて健康的な過ごし方が全うできそうだなと信じているので、『北の国』からの五郎さんみたいになれたらいいなという理想だけは高いんです(笑)。