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忘れられない食と出会うご飯宿、石川〈Villa della Pace〉。イタリアに学び土地の恵みを掘り起こす

食事をゆっくり味わい、余韻に浸りつつ眠る。“泊まれる”レストランが話題です。土地を表現する料理を味わうなら、皿の背景となる自然に身を浸す時間もセットで。時間をかけ、食を体験する旅へ。

photo: Norio Kidera / text: Kei Sasaki

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Villa della Pace(石川/七尾)

イタリアン:
イタリアに学び土地の恵みを掘り起こす

目の前に広がる七尾湾は、湖のように穏やか。「絶景」とも違うさりげなさに、心を優しくなでられるようだ。

「食材も同じ。立ち止まり、目を凝らして初めて見える宝が多く眠っている」と、平田明珠シェフ。ともすれば素通りされかねない土地と食の営みに光を当て、人々を引き留めるのが〈ヴィラ・デラ・パーチェ〉。七尾市街から移転、宿を併設して再スタートを切り、2年目を迎えた。

自然と食材の豊かさに導かれ能登に移り住んだ平田シェフは、東京育ち。修業先も東京のイタリアンだ。いしり(魚醤)をアンチョビ代わりに使ったり、朝獲れのピカピカの魚にクリスピーなパンツァネッラ(パンのサラダ)を重ねたり。足元の食材への執着と、おいしく食べようとする知恵と。皿から、イタリアの食の底力が浮かび上がる。

「自然を“表現”だなんて自分にはおこがましい。寄り添う手段を考えたとき、やはりイタリアに学ぼうと」。しつらえは潔くシンプル。窓が切り取る海の眺めと皿にのる“自然”が、外と内の境界をぼかしていく。

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