撮影クルーたちが
崩れゆく氷河の撮影に成功したとき
私が映画の撮影で北海道の斜里町を訪れたのは、2020年の2月です。その年は記録的な少雪となり、流氷の接岸も遅れていました。東京にいてニュースで知っただけなら他人事だったと思うんですが、滞在中、地元の人たちと共に時を過ごし、その異変を生の声で聞くと心に迫ってくるものがあって。
以来、自然や環境に関心を持つようになった気がします。そんなときに熱心に観始めたのが『OUR PLANET 私たちの地球』。
例えば氷河が崩れるシーンは、どんなハリウッド映画で爆竹を使っても撮れないような大迫力の映像なのですが、そのメイキングである本作には、その瞬間を撮影するためにクルーたちが知恵を集結させて張り込む過程が記録されています。
衝撃的なのは、とうとう撮影に成功したクルーたちの様子。氷河がガンガン崩れているという壮絶な状況がありながら、「撮れた!」と大喜びしているんです。
自分も含めて、映像を撮る人間としては、これまで撮れたことのないような画が撮れれば嬉しいし、その映像を撮って広く世に伝える意義だってある。
けれど、一シーンに、人間の業の深さとそれによって自然に起きた異変が縮図的に詰まっているような気がして、思わずハッとさせられました。