ブラック・アーク・スタジオで
リー・ペリーがダブミックスを施すとき
一口に「レゲエ」といっても、もちろんいろんなジャンルがあります。僕が学生だった1990年代には、大衆的ないわゆるポップレゲエが流行っていました。当時、この音楽を掘っていくなかで見つけたのがこの作品です。
「ルーツ・ロック・レゲエ」は、70年代にジャマイカで確立されたジャンルで、アフリカ回帰を望んだラスタファリズムという宗教思想の影響も受けた、スピリチュアルで強いメッセージ性を持っているのが特徴。ミュージシャンではボブ・マーリーがよく知られていますね。
プロデューサーではこの故リー・ペリーが有名で、彼が作った伝説的なレコーディングスタジオが今はなき〈ブラック・アーク・スタジオ〉です。存在は知っていたけれど、このシーンでも貴重な内部が見られ、そのうえ彼がミキシングしている様子も映っている。

小さな部屋にミュージシャンが集まって楽器を鳴らしながら、リー・ペリーが一つの音楽にまとめていく過程にはルーツ・ロックの魅力が凝縮されています。ジャンル特有のプリミティブな響きがこうして手作業で作られていくのは刺激的で、一層ハマるきっかけになりました。
同じく70年代の映画『ロッカーズ』を観れば、当時のレゲエがよくわかりますよ。