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ドキュメンタリー好き・高橋ユキ、忘れられないあのシーン。『ゴールデン・ステート・キラーを追え』

ドキュメンタリー好き、ライター・高橋ユキさんが「忘れられない、あのシーン」について語ります。

Illstration: Ryo Ishibashi / Text: Yuki Kawano

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車椅子&フェイスシールドの
犯人・ディアンジェロが
法廷に登場するシーン

何十年も事件を追う人がいる中で、真犯人はのんきに生きているのか、死んでいるのか……。犯人に対して膨らませた想像の答え合わせができるのが、未解決事件系ドキュメンタリーを観る醍醐味です。

しかもアメリカでは法廷にもカメラが入れますから、裁判に出廷中の容疑者を見られる。容疑者の顔を見る瞬間は、正直テンションが上がります。

『ゴールデン・ステート・キラーを追え:I'll Be Gone in the Dark』
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ゴールデン・ステート・キラーことディアンジェロは、最後の犯行から32年後、72歳で逮捕されます。最初に姿を見たときは「こんないい感じにのんびりしたお年寄りになっていたのか」と衝撃を受けました。
また、体がとても大きく、それが犯行の残忍さと結びつき妙な納得を感じたり……。最も強烈だったのは、2020年の夏の量刑審問に彼が出廷するシーン(エピソード7に収録)。

オレンジ色の囚人服に飛沫対策のフェイスシールドをかぶり、車椅子を押されてスロープを上ってくる姿が、なんとも哀れでしたね。また、コロナ対策のために、傍聴人同士の距離を確保するべく体育館のような広い場所で審問が行われている様子には、今裁かれているという実感が。

40年以上前に始まった事件ですが、終ってはいないと言われているような気がしました。

『ゴールデン・ステート・キラーを追え:I'll Be Gone in the Dark』イメージイラスト

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