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ハマ・オカモト×山崎怜奈が対談。どうする?これからのラジオパーソナリティ

TOKYO FMの午後、フレッシュな帯番組のスタートはニュースだった。昨年秋に初の冠番組を任せられた山崎怜奈と、さらに遡ること1年前に音楽番組に抜擢されたハマ・オカモト。これからのラジオを担う2人がパーソナリティのあしたを考えた。

Photo: Masanori Kaneshita / Text: Asuka Ochi / Edit: Emi Fukushima / Styling: Haruka Kanno / Hair&make: Ryuichi Mori, Go Takakusagi (Vanites)

どうする?これからのパーソナリティ。

ハマ・オカモトと山崎怜奈の対談

ハマ・オカモト

山崎さんはもともとラジオ好きだったんですよね。

山崎怜奈

小学生時代、TOKYO FMの『SCHOOL OF LOCK!』をあの手この手で聴き始めたのが最初ですね。高校3年生の時にradikoの有料会員になってからキー局以外もチェックして沼にハマっていきました。

一人っ子で鍵っ子だったので、家に誰もいない時に聴いていましたね。父親が車でJ−WAVEをよく流していて、ラジオがとても身近だったんです。

ハマ

僕は全然ラジオっ子じゃなくて。ただ中2の頃、MDがiPodになり、PodcastがiTunesで無料ダウンロードできるようになってから、通学中にエレ片のPodcastを聴いていました。

おかしいんですけどラジオ本編を聴こうという気にはなぜかならなくて、本編で何があったのかを想像しながらPodcastを聴くんですよ。むしろラジオを聴くようになったのは、自分がやり始めてからですね。

とはいえ、今も山下達郎さんや神田伯山さんの番組くらいしか聴かないですけど。なんか自分が嫌になっちゃいそうで、あくまで“出る専”です。

山崎さんの場合は、もともとラジオが好きっていうポテンシャルももちろん大きいでしょうけど、それだけじゃできないというか、自分の言葉でしゃべってるのがやっぱすごいなと思いますよ。

設定好きのTOKYO FMの中で唯一その呪縛から離れて、自分としてやってるし、かっこいいですよ。僕は副店長とか言ってますからね(笑)。

山崎

嬉しい!いつも平常心で、本音100%ではありますね。だからうまく言えない時は、うまく言おうとせず、うまく言えないし言えているかわからないけど、って言っちゃいます。

でも、私も設定は欲しいと思ってましたよ。ハマさんとのクロストークも、最初は緊張しました。

ハマ

クロストークもなにも、山崎さんの番組が始まった当初、どうなるんだろうってみんなが気にしてたじゃないですか。それはプレッシャーだったろうし、見守るしかできなかったけど、あれよあれよと成長して、今では友達にも、お前の番組より全然好きって言われてます。

山崎

難しいですけどね、人生23年しか生きていないのに人の悩みに向き合う時とか。

でも、及び腰でありがちな言葉を使うのは嫌だなって思うんですよ。正論をぶつけすぎるのも、考えてないな、ってなる時もあるから良くないと思うし。できるだけ何らかの力になれば嬉しいなと思いながら、すいません、って言いつつやっています。

ハマ山崎

自分の倍ぐらい生きている人からの悩み相談が来た時に、どの面下げて、っていうのはありますよね。でも、みんな褒めていますよ、『THE TRAD』のスタッフは。今日もちゃんとしたこと言ってんじゃん!って。

山崎怜奈
ハマ・オカモト

生活に心地よく溶け込む、息の長いパーソナリティに。

ハマ

テレビって画がある弊害もあるなと思っていて。声だけなら想像力の世界だし、雑多な編集もされない。自分の発言に責任が持てると思ったのが、19歳で生意気ながらラジオをやりたいと伝えたきっかけなんです。だから、面白さがわかってきたのもやり始めてからですね。

山崎

私もラジオは伝えやすいし、リスナーとしてもすっと入ってくるんだろうなと思います。

普段、ゲストコーナー以外は一人しゃべりなんですが、Twitterの反応と呼応して会話のようなものが生まれていくと、リスナーさんと一緒に作り上げている感じがして、ラジオは生モノっぽくって楽しいなぁと感じますね。

ハマ

僕もこの間、曲中のリアクションであの曲じゃなくてこの曲を選んだのがコイツらしいって書き込みがあって、わかってくれてんじゃん、って話を曲明けでしました。

でも、お互いお昼から夕方までの顔なわけですけど、僕は深夜帯のどうしようもないヤツらを相手にすることの方が多くて、まさか夕飯を準備しているお母さん方にハマる時間帯を担うとは思ってなかったから、ちょっと背筋は伸びましたね。お昼の表情筋がついてきて嬉しいです(笑)。

山崎

私も深夜帯に聴いていたリスナーの一人なので、やるなら夜だなと思っていたんです。そしたらお昼だったという。

ハマ

『THE TRAD』は稲垣吾郎さんの日もあるから、おかげさまで僕は太陽燦々の中で好きなことをやっていますが、音楽知識ゼロの人と100の人を両方とも相手にしているというのは常に意識しています。

発売年の情報が一言あるだけで違うし、例えばジミー・ペイジの印象を聞かれた時に、世界三大ギタリストなんですよ、って言ったところで、誰が決めたんだよ、ってなるけど、手足長いですね、とか言うと、何もわからない人も手足が長い想像だけはできる。

知識ゼロの人に補足をしたり、自分以上の知識量の人に対してもどこかで「そうそう」っていう場面を作らないといけない。

山崎

知識100の人は最初に説明するのが手足長いなのかい!ってクスッとできるかもしれないですね。

ハマ

そこの塩梅は難しいですよね。だから、山下達郎さんスペシャルをやった時は、30分じゃ終わんないだろ、ってたぶん7回くらい言ったと思います。

そう思ってる人は客側に絶対いるんですよ。特集しといて選曲これだけかよ、って。そんなのこっちもわかってるよと。その歩み寄りの具合は気にしてやっていますね。

山崎

だから音楽にあまり詳しくない人でも楽しんで聴けるんだなって思います。

ハマ

そう思ってもらえたら嬉しいですけどね。パーソナリティとして、仲良くありたいですよね。仲の良い人の意見の方が、普通の関係値の人のより一歩上になるような感覚で。

たとえ意見が違っても、離れてほしくはないというか。言葉を選ばずに言うと、ラジオって生活に無差別に食い込んでくる、街鳴りに近くて。自分で選んだ曲じゃないのにうるせえなぁっていうような、広告トラックみたいな存在にはなりたくないんですよね。

バカ言ってんな、でも、いいこと言ってるな、でも、どういうふうに感じてもらうかはどちらでもいいんで。

山崎

溶け込みたいですよね。とにかく浸透したい。気がついたらいた、になりたいんです。別にバズらなくていいし、生活音みたいに馴染めたらと。TRAD先生は、あー馴染む〜って言葉がぴったりだなと思います。

ハマ

TRAD先生って(笑)。ラジオって身近にあるものの中でもリアリティのあるメディアだと思うので、やっている側もリアルでいたいなというのもありますね。

やっぱり面白いなと思う人や長くやってらっしゃるパーソナリティの方って、その人自身でしかないんですよね。だから、長くやっている人になりたいです。

山崎

そうですね。番組を初回から聴いてくださっている方が多いのは武器でもあるなと思っていて、あ、こういうこと言えるようになったんだなとか、生身の人間っぽくなってきたなとか思ってもらえたら嬉しいです。
そしてできるだけ、いい影響を及ぼしたいですね。

ハマ

逆に悪い影響ばっかり及ぼすラジオっていうのも、それはそれでちょっとかっこいいけどね(笑)。

『THE TRAD』TOKYO FM(東京)/毎週月~木曜日 15:00~16:50
『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』TOKYO FM(東京)/毎週月~木曜日 13:00~14:55