ラジオのお悩み相談、進化中。
シンガーソングライターの近藤夏子と、アナウンサーの北村真平が担当するABCラジオ『よなよな…』水曜日。リスナー同士を電話で繋ぎ、クロストーク形式で悩み相談をする「おてドキ」では、0歳から80歳までが参加し話題に。
今回の相談者は尾崎世界観。
尾崎世界観の悩み
「地図や説明書を読むのが苦手で
周囲に迷惑をかけてしまう」
縦横に地図をずらしながら目的地へ連れていってくれる人ってかっこいい。そんな憧れより、尾崎さんが悩むポイントは、周りに迷惑をかけてしまうことだそう。
回答者=コタエニストは、「おてドキ☆Xトーク」登場2回目の暴れ缶コーヒー(31歳/男性)さん。
尾崎世界観
電化製品を買った時とか、いろいろ読まなければいけないじゃないですか? でも、なかなか頭に入ってこないんですよね。
暴れ缶コーヒー
実は僕も地図や説明書がまったく読めない類いなんです。どういう努力をしても、読めないものは読めないと思うんですよ。だからこそ、読めない、わからないことを周りの人に公言してしまって、助けてもらった方が賢いんじゃないかと思います。
例えば、極端なんですけど、尾崎さんなら、説明書を読めない、地図が読めないという曲を出してしまって……。
近藤夏子
ちょっと、誰が誰に提案しとんねん!(笑)
暴れ缶コーヒー
「テレビの配線がわからない」と曲に発信したら、説明してくれる方がいるのでは……?
尾崎
……。今でも実際に、周りの人から教えてもらっているんですよ。
でも、できるだけ、周りに迷惑をかけたくないとは思っていて。
暴れ缶コーヒー
組み立てや配線が難しいものを買うことが多い?
尾崎
難しいものは買わないんですけどね。
暴れ缶コーヒー
僕が助けられたのは、ネット上にあるイラスト付きで説明されているもの。文字の説明書は一度諦めて、イラストのもの、それから説明動画をネットで探すとわかりやすいかもしれません。
尾崎
……。わかりました……。
北村真平
前向きに答えるつもりが、後ろ向きになってしまいましたね。お2人ともありがとうございました。
尾崎世界観の悩み
「仕事を受けすぎて
体を壊しそう」
同じ悩みを抱えるリスナーが相談相手となった「悩み1」では明快な回答が得られず。続いては、人生を左右する仕事上の重大なお悩み。
コタエニストは、卒業を目前に控えた現役女子高生。複雑な大人の苦悩へ、無垢な発想で答えてくれます。
シニーボーカル
全部好きな仕事なんですか?
尾崎
もちろん、全部やりたい仕事です。受ける時は嬉しいけど、後で締め切りに追われて絶望する。この繰り返しなんです。締め切りを守れないと、迷惑をかけちゃうんですよね。
常に締め切りを破ったまま、それが通常になってしまっているんです。
シニー
なるほど。
尾崎
どこかでちゃんと断って、ある程度整理し、ペースを戻さなきゃなと思っているんです。でも、お話をいただくとありがたくなっちゃって。
あと、誰かにその仕事が行くと思うと、なんか悔しくなる。
北村
あー!なるほど。
近藤
悔しいから誰にも渡したくないという気持ち、そしてありがたいという気持ち。どっちのバロメーターが高いんですか?
尾崎
基本はありがたいと思っています。スケジュールを見て、断ろうとも思うんですけど、どうしても我慢できないんですよね。
シニー
体を壊してしまっては、元も子もないじゃないですか?
自分が一番やりたいことを選ぶことがいいと思います。ほかに仕事が渡ってしまうことを悔しいと思うのは、ほかの人でもできそうだけど、尾崎さんが適任だから依頼が来た仕事だと、どこかで感じているからじゃないですか?
尾崎
あー!
シニー
尾崎さんにしかできない仕事と、ほかの人でもできる仕事の見分けをつけられるといいかな。
尾崎
なるほど!そこをちゃんと見極めるということですね。
シニー
そうですね。
自分しかできない仕事と、そうでない依頼を見分ける。
尾崎
僕が断れば、ほかの人に依頼が行くだろうと、無意識のうちに感じているんですよね。自分じゃなくてもいい仕事だと、心のどこかでわかっているのかもしれません。
北村
代替えが利く仕事もありますね。焦るような感覚なんですか?
尾崎
嫉妬心ですね。僕が断った仕事をキッカケに、誰かが売れっ子になったらどうしようとか(笑)。
近藤
尾崎さんほど成功して、ご活躍されている方でも、そんなふうに思われるんですね。
尾崎
人に取られたくないと思う気持ちを、どうにかすることが大事ですね。シニーさんの答えを聞いてわかりました。
近藤
ハングリー精神を、いまだに抱えてらっしゃるのは意外です。
尾崎
振り返ってみれば、自分だって誰かが断った仕事がキッカケで、今があるのかもしれないですよね。ほかに欲がまったくないんです。
近藤
物欲とかないんだ?
尾崎
仕事に関してだけですね。
北村
仕事に対するモチベーションは、お金を稼ぎたいとかじゃないんですね?
尾崎
そうなんですよ。誰かに期待されていることが、とにかく嬉しくて。「これだけ依頼が溜まっている」と認識する瞬間が、すごく幸せなんですよ。だから、心配性なんですよね。
「いつか仕事がダメになる」という恐怖心がある。でも、新しく依頼をもらえたから、まだ求められていることを実感して、安心している。
仕事を失う不安があるから締め切りを抱えると安心。
近藤夏子
そこで安心感を得て。締め切りが溜まっていて、ギリギリの中で作り上げているものが、たくさんあるということですよね?
尾崎
そうですね、もうヤバイ!という期限を迎えないと、何もできない体になっています。締め切りを越えてからじゃないと始まらない、そんな悪循環に陥っていて。
近藤
締め切りギリギリの中で、焦りながらもハイになり、どんどんいい曲を生み出している人って、すごく多いですよね。
尾崎
そうなんですよね。
北村真平
追い込まれることで、すごい作品が生まれるという葛藤もあったりするんですか?
尾崎
それもありますね。
近藤
どう思う?
シニー
率直に素敵やなと思いました。仕事が好きだと、率直に言えることはすごくいいですね。
尾崎
何かに追われることは?
シニー
高校卒業前、友達と動画を撮影し、アップすることになっていて。自分は編集担当ですが、予定日間近なんです。
近藤
締め切りに追われる気持ちがわかるってこと?
シニー
はい。尾崎さんの比にはなりませんが。
尾崎
僕が18歳だった頃は、誰も自分の音楽を聴いてくれないし、だからこそ誰かに求められたいという気持ちが強かった。悔しい経験があったから、18年経っても仕事を離したくないと思うのかもしれません。
北村
人から求められるために気をつけたり、意識したりすることは?
尾崎
自分から相手に近づくより、あくまでも相手を振り向かせたいという気持ちがあります。仕事を取りに行くくらいの欲があれば、逆に断ることもできるはずなんですけどね。先方の好意や期待だと思うとやっぱり断れない(笑)。
でも、シニーさんに言われた通り、今後は見極めて、勇気を持って断ってみることも大事だと思いました。断りすぎて、仕事を失った時は、また相談させてください!
相談を終えた尾崎さんは?
ラジオ番組をやっていた頃は、相談を受ける立場が多く、逆に悩みを打ち明ける側に立ったのはすごく刺激的でしたね。
相手が考えている時の、待っている沈黙の数秒間が新鮮でした。「悩み1」に関しては、自分はやっぱり既存のものに適応力がないんですね。
音楽にしても、0から1を生みたいという欲の方が強い。作詞作曲以外のアレンジは、メンバーに任せているので。まさに、地図や説明書を読んでもらっている感覚です。それが再認識できました。
まだまだあります。進化系悩み相談。
お笑いコンビ・メッセンジャーの冠番組内の悩み相談は、提示した解決策に対してリスナーが「その後」を報告。やりとりは数週にわたることも。悩みの根本的な解決が目指せる企画だ。
TBSラジオの名物番組『全国こども電話相談室』の復活版。子供たちの素朴な悩みに、専門家が答えるという内容はそのまま、回答者として伊集院光が参加している点が何よりの進化。