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プロの仕事服。〈今野製作所〉チーフビルダー・今野真一

格好いい職人たちが着る仕事服が気になる。厨房、工場、畑など、それぞれが働く場所に合った機能やデザインをどう考えているのか。彼らが仕事服に求めるスタンダードに迫る。

photo: Keisuke Fukamizu / edit: Keiichiro Miyata

危険が伴う作業にも接客にも対応できる服

今野真一(〈今野製作所〉チーフビルダー)

予約は約1年待ち。機能美を備え、レースにも勝てる自転車を生み出し続ける今野真一さんは、シルエットがすっきりとした〈レッドキャップ〉のワークコートを防護服として愛用している。

「職人だからって、服に無頓着なのはどうかと思うんです。とはいえ火花が散ったり、金属を削ったりと危険が伴うので、きれいめなワークコートが防護服代わり。汚い格好でもいいという美意識では、美しいフレームは作れません」

〈今野製作所〉チーフビルダー・今野真一
フレームを接合するロウ付け。この腕が機能美を左右する。

コートを脱いだ装いにも、独自の働き方を象徴する哲学がある。

「お店も兼ねた製作所なので、コートを脱げば接客できる装いを考えました。〈ウエス〉の襟付きのワークシャツと〈ディッキーズ〉のワークパンツ『873』といった定番のワークウェアにしたのは、毎日鏡を見て、もう着るのはやめようと感じたら思い切って買い替えられるように。普遍性や歴史ある服ならまず店頭からなくならない。そう信じて着続けています」