世界が求める、日本のプレミアムジン
ジンが世界的ブームとなり、個性豊かな銘柄が次々と造られるようになった現在、注目したいのが日本のプレミアムジン《ROKU(六)》だ。発売から4年を経た2021年には、高価格帯ジンのカテゴリーにおいて販売数量で世界3位に。日本の四季に育まれた桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子という6種の和素材を使ってつくられる《ROKU》は、華やかさと爽やかさを兼ね備え、口にすればほんのりと甘味のある味わいだ。日本の四季を封じ込めたユニークな魅力を深く知るべく、開発者の鳥井和之さんを訪ねた。
「サントリーが初めてジンを手がけたのは結構古く、実は1936年のことなんです。時代ごとに新たな製品を出し、81年にはプレミアムジンも発売。常に改良に携わる先輩方の背中を見ながら、いつかもっと世界で愉しまれるジンを、との想いを抱いていました」と鳥井さん。その夢に近づく、世界を意識したジンの開発が始まったのは2015年のこと。
「ディスカッションを重ね、和素材を使ったプレミアムジンをつくる方向性が決まりました。とはいえ日本だから柚子、桜の香りがすればいい、ではなく、バランスとして日本を感じさせるものにしたい。ジンを構成するフローラル、シトラス、ビターネスといった基本要素に、日本のさまざまな素材を組み合わせてみた結果、四季折々のこの6種に。飲み手が素材のそれぞれの個性を感じようと思えば感じられる、そのシンプルさも重要だと考え、必要最小限の素材のバランスに行き着きました」
ジュニパーベリーなどジンの伝統的な8種のボタニカルをベースにつくる原料酒に、6種の和素材でつくった原料酒を合わせるのがポイント。和素材はそれぞれの持ち味を活かすため、浸漬(しんせき)や蒸溜などにこだわって原料酒をつくり、ブレンドして完成させる。日本国内と世界での展開を等しく視野に入れていたことも、味わいを決める要素になった。
「国内向け製品を海外に持っていくのとも、海外市場に向けて製品を設計するのとも違う、両方を想定したパターンです。海外におもねるのではなく、まずは日本人がジャパニーズジンと感じてもらえることを目指し、その上で海外の飲み手にも味見をしてもらいつつ、2年くらいかけて行ったり来たりを繰り返しました」
かつてサントリーの創業百周年を記念した1999年の社内報に「いつか外国のバーで和名ジャパニーズジンのマティーニを味わいたい」と記した鳥井さん。2017年、《ROKU》の発売イベントを行った、ロンドンやパリのバーで夢は叶えられた。その後も海外のバーで愉しんだよ、という知人の声が届く。
「ジンは自由度があり、つくり手の個性が出せるスピリッツです。《ROKU》は日本というローカリティを表現しています。その魅力は、日本の、そして世界の方々にも感じてもらえるのではないでしょうか」
まさに日本の息吹とそのつくりのこだわりを感じさせるジンだ。
サントリーお客様センター
HP:www.suntory.co.jp/customer/
ストップ!20歳未満飲酒・飲酒運転