伝説のレコードショップ〈シスコ〉が銀座に復活。〈ジル サンダー〉が問う音楽と環境の関係

かつて音楽好きたちが集った渋谷の伝説のレコードショップ〈シスコ〉(2007年に閉店)が、期間限定で〈ジル サンダー 銀座〉で復活中。その理由とは。

photo: Koh Akazawa / text: BRUTUS

欧米の先進的なロックやクラブミュージックのアナログレコードをいち早く輸入し、音楽ファンやDJが集った東京・渋谷のレコードショップ〈シスコ〉。1970年にオープンし、音楽からファッションまで様々な最先端のカルチャーが交差する街としての渋谷を象徴するスポットとして、サロンのような役割も担っていた。

〈シスコ〉の象徴だったロゴマーク

90年代には、〈シスコ〉をはじめとする渋谷の輸入レコード店文化の盛り上がりを背景に、現在まで強い影響力を持つ音楽ムーブメント「渋谷系」も誕生。まさに一つの時代を築いたレコードショップだったが、音楽メディアや業界の変化の波が押し寄せ、2007年に惜しまれつつ閉店。そんな〈シスコ〉が20年近い時を経て、この春、期間限定で復活。場所は〈ジル サンダー〉の世界最大規模の旗艦店〈ジル サンダー 銀座〉のアートスペースだ。

レコードショップ〈シスコ〉の店内の様子
RECORD KIOSK - JIL SANDER SOUND PRESENTS CISCO RECORDS

「RECORD KIOSK - JIL SANDER SOUND PRESENTS CISCO RECORDS」では、元〈シスコ〉のスタッフや〈ジル サンダー〉のミュージック・スーパーバイザーがセレクトした、数千枚のレコードのショッピングを実際に楽しむことができる。オルタナティブロック、エレクトロニック、環境音楽、ワールドミュージック、日本のシティポップまで。好奇心を刺激する魅力的なラインナップに出会えるのだ。

なぜ〈ジル サンダー〉に〈シスコ〉が?このプロジェクトの発端は、昨年3月に〈ジル サンダー〉のクリエイティブ・ディレクターに就任したシモーネ・ベロッティの音楽への愛。「音楽は、フィルターを介せずに直接的な感情を生み出すことができるメディウムです」と語るシモーネにとって、ファッションと音楽は切っても切れない重要な関係性。「ジル サンダーのようなブランドには、服のイメージを損なうことなく、私たちの繊細な表現との対話を生み出せる音楽を見つけることが不可欠です」。シモーネのデビューコレクションのローンチを記念して実現したのが、カルチャーのジャンルを超えて多くの人々に嬉しい驚きをもたらす〈シスコ〉の復活だった。

オープニングイベントには、〈ジル サンダー〉の2026年秋冬コレクションショーの音楽も手がけたロサンゼルスを拠点に活動する電子音楽家、ローレル・ヘイローが出演。特別なDJセットで会場を盛り上げた。

ターンテーブルと向き合う
オープニングイベントに出演したローレル・ヘイロー。

このポップアップは、単にかつての名店を復活させるノスタルジックな試みではない。サブスクで音楽を聴くのが当たり前の時代に、アナログレコードというフィジカルな存在、そしてそれに出会うために人々が集うレコードショップという場所の価値を問い直すプロジェクトであり、そこで来店者が出会うのはカルチャーの過去ではなく未来だ。ショップに並ぶ現代的で多様なレコードの数々もそれを象徴している。

ポップアップストアおよび〈ジル サンダー 銀座〉で商品を購入した来店者には、ローレル・ヘイローによる2026年秋冬ショーの楽曲「Train」を収録したソノシートと、シモーネやローレルのほか、日本のアンビエントシーンを代表する音楽家・広瀬豊やSOSHI TAKEDA、スピーカーデザイナーの佐藤博康へのインタビューも収録したオリジナルZINEのセット「JIL SANDER SOUND ZINE」がプレゼントされる(なくなり次第配布終了)。「RECORD KIOSK - JIL SANDER SOUND PRESENTS CISCO RECORDS」は5月10日まで開催中。期間中、何度も足を運びたい。

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