斉藤壮馬の「ただいま、ゼロ年代。」第46回 Black Rebel Motorcycle Club『Howl』

声優・斉藤壮馬が、10代のころに耽溺していたカルチャーについて偏愛的に語ります。

photo: Kenta Aminaka / hair&make: Chihiro Ujikawa / text: Soma Saito

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Black Rebel Motorcycle Club『Howl』

CDを掲げる斉藤壮馬

中学生当時、どちらかといえばUK寄りの音楽を聴いていたが、もちろんUSも大好きだった。

The Smashing PumpkinsやNirvanaはもちろん、Dinosaur Jr.、そして敬愛するElliott Smithなど、美しいメロディを奏でるアーティストたちに魅了されたものだ。

今回紹介するのは、そんなアメリカはサンフランシスコから現れたロックンロールバンド、Black Rebel Motorcycle Clubである。

2001年、1stアルバム『B.R.M.C.』(邦題:ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ登場)にてデビューした彼らは、リードトラック「Whatever Happened To My Rock 'N' Roll (Punk Song)」でロックンロールリバイバルシーンに衝撃を与えた。

まずもってバンド名がめちゃくちゃ格好いい。これはある映画に登場する、いわゆる暴走族のチームメイトのことだが、なんとも声に出して読みたいバンド名ではないか。

そんな彼らが2ndアルバムを経てリリースしたのが、名盤『Howl』だ。

店の前に立つ斉藤壮馬

このアルバム、それまでのサイケデリックなムードとは打って変わって、さながらBob Dylanのようなアメリカンルーツミュージックを思わせる音像となっている。

まずM1「Shuffle Your Feet」からして強烈なインパクトである。おごそかかつ挑発的なアカペラから始まったと思うや否や、いなたいサウンドが旅情を感じさせる。

M4「Ain't No Easy Way」などはわかりやすくルーツミュージック的で、意図的に音質を落としているだろう録音とスライドギターが耳に残る。

続くM5「Still Suspicion Holds You Tight」、M6「Fault Line」はかなり直球にフォーキーであり、単なるオマージュというよりも、彼らが自らのルーツを誇り、意志を継承していくのだという表明にも感じた。

そしてM7「Promise」。ぼくがこのアルバムでもっとも好きであり、いつかこんな曲を書きたいと願ってやまない曲の一つだ。

甘いヴォーカルに寄り添うピアノ、簡単なコードにもかかわらず次第に増していくグルーヴ、すべてが調和した名曲である。

さらにもう1曲、M11「Complicated Situation」もたまらない楽曲だ。

これこそまさにディラン直径といったところで、楽曲として革新的であったり真新しい部分はそこまで感じないのだが、歌詞の「It's a complicated situation mama」というフレーズが、当時の自分そのままのようで強く印象に残っている。

ちょっとややこしい状況なんだよ、ママ——それは、もちろん意図や文脈とは違うのだろうけれど、あのころのぼくには頷きながら寄り添ってくれるように感じたのだ。

上京し、賃貸の家を転々とする生活をずっと続けていると、なかなかアコースティックギターを弾く機会がなくなってしまった。

けれど、『Howl』を聴いていたら、やはりたまにはアコギを爪弾きたいものだな、としみじみ思わされた。

とりあえず、クローゼットで眠っているギターをメンテナンスに出すところから始めてみよう。

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