ブルータス時計ブランド学 Vol.84〈セイコー プロスペックス〉

海より深い、機械式腕時計の世界から、知っておきたい重要ブランドを1つずつ解説するこちらの連載。歴史や特徴を踏まえつつ、ブランドを象徴するような基本の「名作」と、この1年間に登場した注目の「新作」から1本ずつ、併せて紹介。毎回の講義で、時計がもっと分かる。ウォッチジャーナリスト・高木教雄が講師を担当。第84回は〈セイコー プロスペックス〉

text: Norio Takagi / illustration: Shinji Abe

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プロの要求に応える、国産スポーツウォッチ

ブランド名は、“Professional Specifications”(プロフェッショナルな仕様)を語源とする。〈セイコー プロスペックス〉は、陸・海・空のそれぞれで活動するプロに向けたスペックが備わるスポーツウォッチブランドである。

その嚆矢となったのが、1965年にリリースされた「62MAS-010」、通称“150mダイバー”。150m防水を実現したこのモデルで〈セイコー〉は、国産ダイバーズウォッチの歴史を開き、その技術を研鑽していく。1967年には、裏蓋がないワンピース構造のケースで300m防水を実現。その翌年には、同じケースに国産初の毎秒10振動というハイビートムーブメントが搭載された。

そして1975年、歴史的な傑作が誕生する。海に入る際にヘリウム混合ガスを用いる飽和潜水に対応した「600m防水ダイバー」である。ケース素材には、ダイバーズ初の純チタンを採用。さらにケースを覆う黒色イオンプレーティング処理を施したチタン製プロテクターが備わり、水密性や気密性、耐食性、耐擦傷性を高めた、まさにプロスペックのモデルであった。

これらダイバーズに加え、フィールドウォッチやクロノグラフといった高級スポーツウォッチを〈セイコー プロスペックス〉の名で統合。

現在は、飽和潜水対応の「マリンマスター プロフェッショナル」、空気潜水向けの「マリンマスター」と「ダイバー スキューバ」、1959年に登山家向けに作られたモデルの系譜を継ぐ「アルピニスト」、1969年の自動巻きクロノグラフの流れを継承する「スピードタイマー」、そしてランナー向けデジタルウォッチ「スーパーランナーズ ソーラー」を展開。〈セイコー〉グローバルブランドの一翼を担う。

【Signature:名作】SBDC197

初代国産ダイバーの外観を、現代的にアップデイト

別名「1965 ダイバー」。そのデザインは、1965年に誕生した国産初のダイバーズウォッチからインスピレーションを得ている。そのままズバリの復刻とせず、針先を尖らせ、インデックスもケース径に合わせて視認性を向上。さらに逆回転防止ベゼルを拡幅して操作性を改良した。

と同時に、当時の面影は強く受け継いでおり、適度なレトロ感がスタイリッシュだ。防水性能もオリジナルの150mから倍の300mに進化。さらにムーブメントには、約72時間駆動の最新自動巻きを搭載し、機械的な魅力も一層高めている。

径40mm、自動巻き、SSケース。176,000円。

【New:新作】SBEJ029

真紅のGMT針が目に鮮やかな、海外ダイビングのお供

こちらの別名は「1968 ダイバー」。ワンピース構造ケース&毎秒10振動ムーブメントを採用した1968年製モデルの外観を現代的に再解釈し、GMT機構を追加した。針や時インデックスの形状は、オリジナルから継承。

GMT針は時分針と明確に形状と色を変えることで、視覚的に切り分けている。ホワイトのダイヤルと爽やかなコントラストを成す逆回転防止ベゼルのブルーのインサートは、セラミック製で耐傷性も高い。防水性能は300m。海外遠征のダイビングの頼もしい相棒となる。

径42mm、自動巻き、SSケース。247,500円。

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