寿命決定四因子を発見するには?
「寿命決定四因子を見つけて、ノーベル賞を獲りますよ」そう言いながらニヤリと笑う小林武彦先生。身ぶり手ぶりを交えて老化研究について教えてくれた。
「老化とは、ゲノムの劣化です。これは生物共通の基本原理。細胞が分裂するたびに劣化が進み、紫外線を浴びれば傷がつく。年を取るほどダメージは蓄積し、例えばがんや認知症の原因になります。そこで大切なのが、ゲノム修復遺伝子です」
DNAが壊れにくい生き物ほど寿命が長いということがわかっている。例えば、ヒトはマウスに比べて10倍以上壊れにくい。実際、修復遺伝子の働きが異なっているという。ヒトが持つ修復遺伝子をマウスに入れ、より寿命を延ばせたものが寿命決定因子だ。
「あと5年で4つくらい見つけたいですね。山中伸弥教授は山中四因子でノーベル賞を獲ってますし」“四”因子はちょっとした洒落……だが、すでに候補はある。例えば、修復を活性化させるサーチュインという酵素はマウスの寿命を20%延ばしたという。
ところでヒトの修復因子を実験に使うなら、マウスの寿命が延びることはあってもヒトでは変わらないのでは?「もちろん、すでにヒトは理想的な修復能力を持っています。ただ、働きをさらに向上させれば、より寿命が延びる可能性はある。
今後、AIがよりベターだと思われる補助因子や構造をデザインしてくれるでしょう。なにより大事なことは、健康でいられる時期が延びるということです。ピンピンコロリと死んでいく。それがベストではないでしょうか」
