──『夫婦の世界』や『マイネーム:偽りと復讐』『わかっていても』など、これまではドラマをフィールドに演技をされてきたと思います。今回、商業映画1作目となりますが、韓国における映画とドラマの作り方の違いについても感じたことを教えてください。
以前から、映画はずっと出たいなと思っていました。私が一番最初に映画作品に参加したのは『12月の君へ』というインディーズ作品です。日本でも公開されている作品ですが、このときは「こういうふうに作るんだな」という映画のシステムを知ることができました。
私がドラマでデビューした当初は、すでにストリーミングで様々な作品が見られる、そんな環境が一般的でした。映画とドラマの境界線というものが昔ほどくっきり分かれてはいない状態なので、ドラマを撮影しながらも、その現場のスタッフは、別の日には映画で撮影をしているということも多かったです。ですので、ドラマとはいえ、実際に映画をやっているのと同じような作り方で撮影をするということもありました。

──本作に出演しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
この作品に参加した経緯は、監督からオファーがあったというよりも、まず最初に私とチョン・ジョンソさんが一緒に台本を読むというプロセスから始まりました。その内容を見て、「これ、やってみたいね」という話になり、その意向を監督に伝えしたところ、監督も乗ってきてくださってこのプロジェクトが進み始めたんです。
──先ほどお話しいただいたように、韓国では最近はドラマと映画が似たような環境になっているということですが、それでも映画ならではの大変さだったり面白さだったりを感じたことはありましたか?
もちろんありました。例えばドラマなど、シリーズものの場合は、撮影がスタートした時点では、結末が分かっていない場合もあります。例えば全8話だとすると、4話ぐらいまで撮っていって、その先どうなるかが分かってくるという場合もあるんです。
しかし、映画の場合はシナリオがもともとあって、最終的にどうなるかという結末も分かった状態で撮影に入るということなので、俳優としては、その過程を全部分かっているので、自分が演じるべきキャラクターをちゃんと緻密に研究していけるというところが一番の長所じゃないかなと思います。
現在の韓国の映画製作は厳しい状況にあります。そんな中でも、こうやって大きなスクリーンで自分の演技が映し出される、それを観られるということは、とても光栄なこと、ありがたいことだなと思います。
──次に、ご自身の記憶に残った撮影についてお伺いします。撮影していた中で役柄がはまったり、心情が深く理解できたり、ターニングポイントになったようなシーンはありましたか?
本作において私が演じたミソンと相棒のドギョンという2人は本当にお互いになくてはならない存在で、相手なしではもう生きていけないほどの強いつながりのある友達であり、家族のような関係です。
ただ、この2人の性格がはっきり違うんだなということがよく分かるシーンがあります。それは、この映画の核心でもあるシーンなのですが、そのときミソンは本当に人間的な反応を見せます。人と人とのつながりや愛情をとても大切に考えているキャラクターなんですね。そのシーンでは自分自身にも似ているなと思いながら撮影に臨みました。
──ハン・ソヒさん自身映画がすごいお好きで、たくさんの作品を観られていると思います。韓国映画では、男性同士のバディものは多いですが。同世代の俳優さん同士、特に女性の俳優さん同士がダブル主演はかなり稀な例かと思います。今回の作品での役作りにあたり、何かヒントになった映画だったり、登場人物はありますか?
正直に参考にしたという作品はありません。もちろん、他の作品を観たら何らかのいい影響があるかもしれませんが、本作の場合はドギョンとミソンが引っ張っていくストーリーを、何かそれ以外のコンテンツの影響をそこに加えるよりも、この作品ならではの2人がかもしだす雰囲気とかカラーというものが、うまく出せるといいなと思っていました。
あえて言うのであれば、監督のこれまでの作品(*日本未公開)でしょうか。場面展開をどういうふうして、意味をどういうふうに付けられて作品を作っていかれたのかということを参考にしたと言えると思います。
──ちなみに、日本の映画でお好きな作品とか、お好きな監督がいらっしゃったりしますか?
すごくたくさんありますね。『嫌われ松子の一生』『トニー滝谷』は、特にお気に入りです。

──もう一人の主演のチョン・ジョンソさんとは、プライベートでも親友のような関係かと思いますが、役柄として演技で難しかったことはありますか?
親しいがゆえに大変だったこと、難しかったことはありません。日常的な会話をするシーンというのも出てくるんですが、一般的には、そういうシーンのほうが、ある意味、難しいとも言えると思うんですね。ただ、ジョンソさんとは普段から仲よしなので、映画の中で、アドリブをしても、相手もそれで戸惑うことなく自然に受け取ってやりとりができるというところ、それがすごくよかったかなと思っています。

ソウルの繁華街で、日々を生き延びるため必死に金を工面する2人の女が、街のどこかに7億ウォンもの大金が隠されているという情報を得る。一攫千金を狙い危険な勝負に挑むクライムサスペンス。監督:イ・ファン、ハン・ソヒ、チョン・ジョンソ、キム・シンロク、チョン・ヨンジュ、イ・ジェギュン、ユア(OH MY GIRL)、キム・ソンチョル。TOHOシネマズ 日比谷他全国公開中。

