ZANAT、EETAL、ITOKI × karimoku。未来を見据えた椅子作りをするブランド3選

環境へ配慮していたり、失われつつある伝統文化を継承していたり。デザインや座り心地に加えて、社会へのインパクトがあることも、これからの椅子選びには大切。未来を見据えたブランドを紹介します。

本記事は、BRUTUS「椅子と、居場所。」(2026年2月2日発売)から特別公開中。詳しくはこちら

photo: Toru Oshima / text: Yuka Uchida

ZANAT(ザナット)

次世代へ継承するボスニア・ヘルツェゴビナの伝統木彫

オスマン帝国時代に生まれた精巧な木彫技法「コニッツ彫り」。無形文化遺産にも登録されているこの伝統技術を今に伝えるのが〈ザナット〉だ。創設者ガノ・ニクシッチが19世紀末に習得した高度な木彫技術を4世代にわたって継承しているボスニア・ヘルツェゴビナのブランドで、海外のプロダクトデザイナーとも積極的に協業。

新作の《モスタル スツール》は深澤直人のデザインで、古都・モスタルに架かる古い橋にインスパイアされている。モスタルはユーゴ紛争によって破壊されてしまった町。復興後は多文化共生の象徴にもなっており、この国の歴史や平和へのメッセージも込められている。

パトリック・ノルゲによる《サバアームチェア》は肘掛けの繊細なカーブが、モニカ・フォスターによる《ウンナ チェア》は背の精密な木彫が特徴。使用するのはFSC認証を受けた自国の木材で、現地では植樹活動も行っている。

ZANATの椅子
左から、《SAVA ARM CHAIR》H69×W60×D48.5cm 394,900円、《MOSTAR STOOL》H45× W30× D30cm 345,400円、《UNNA CHAIR》H82×W52×D51cm 294,800円(以上ザナット/アクタス・青山店 TEL:0120-879-230)

EETAL(イータル)

デザインの力で広げる板金加工技術の可能性

1957年に長崎で創業した精密板金加工メーカーが、板金による新たなもの作りのために立ち上げたプロジェクト〈イータル〉。板金とは、鉄やステンレス、アルミの薄い板を加工する技術で、〈イータル〉では切断から成形、溶接、塗装までを一貫して行っている。

韓国のプロダクトデザインスタジオ〈クオデュオ〉と作った「ヒコウ」シリーズは、アルミニウムを加工した家具コレクション。片手でひょいと持ち上げられるほど軽いが、耐久性もあり、鉄やステンレスにはない、アルミ独特の軟らかさも感じられる。

チェアは背もたれがわずかにしなる設計で、体重を優しく受け止めてくれる。色はチェアもスツールも黒、クリームホワイト、グレー、赤の4色。光の反射が塗装技術の確かさを際立たせている。

EETALの椅子
左から、《HIKOU Chair》H76.4×W57.5×D31.9cm 134,200円、《HIKOU Stool》各H43×W39.9×D36.4cm 各93,500円(以上イータル/日本ベネックス TEL:0957-26-5111)

ITOKI × karimoku(イトーキ×カリモク家具)

森林保全にもつながる、温もりあるオフィスチェア

〈イトーキ〉がプロダクトデザイナーの柴田文江と開発するオフィスチェア《バーテブラゼロサン》に無垢材を用いた新モデルが誕生した。木材パーツは〈カリモク家具〉が監修。小さくカットしたクリ材を接着してから削り出すことで、座面や背に滑らかなくぼみを成形。〈イトーキ〉が培ってきた人間工学に基づく座り心地を形にした。

座面裏には「フィンガージョイント」という、短い材を縦につなぐ技術が生かされ、筋や曲がりがあって十分な長さが取れない木材も無駄なく活用。また、国産のクリ材を使うことで森林保全も期待できる。木を感じて働くことが、日本の森の未来につながっている。木材パーツは写真のクリアとグリーンのほかにブラックも。

ITOKI × karimokuの椅子
左から、《vertebra03 WOOD 4本脚回転タイプ》H81×W56×D51.5cm 128,900円~、《vertebra03 WOOD 5本脚キャスタータイプ》H77.5~89×W56×D51.5cm 130,200円~(共にイトーキ TEL:0120-164177)

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