誰かを大切に思うのと同じくらい、自分のことも大切にしなきゃいけない
───過去の恋愛と今とで、みなさんの恋愛観に変化はありましたか?
カズユキ:僕は、恋人と付き合っていた15年の続きをそのまま歩んでいる感覚で。だから大きな変化は特にないのですが、ただ、何気ない日常に以前よりもずっと幸せを感じるようになりましたね。
ウィリアム:過去の恋愛は本当にすごくて(笑)。それと比べると、今はすごく落ち着いていますね。昔は相手の気持ちに振り回されて、自分の感情も激しくブレていました。今は、感情が激しく動かないことに「いいのかな」と戸惑うこともありますが、これが理想なんだろうなと少しずつ実感しています。
イザヤ:僕も変化しましたね。以前はどこか自分を隠してしまって、他者とは踏み込みすぎない関係性に甘んじていた時期もありました。でも、ウィリアムとGreen Roomで出会ってから自分も変わって、しっかり話し合う関係性に変わりました。今は、穏やかさや、心地よさ、安心感、そして信頼をお互いに持っていると思うので、そこを大切にしたいです。
トモアキ:以前はとにかくパッション重視でした。好きと感じた気持ちだけで突き進んで、たとえ相手に大切にされていないと思っても、「自分はこれだけ好きだから」と思うようにしていたんです。でもGreen Roomで過ごして、誰かを大切に思うのと同じくらい、自分のことも大切にしなきゃいけないんだと学びました。だからこそ今は自分を大切にしてくれる人と一緒にいたいなと思います。
テホン:トモアキの話、よく分かります。やっぱり若い頃って付き合い始めたら、そのリレーションシップを守ることに必死になりすぎて、自分を見失ってしまうこともありました。でも経験を重ねて、今は自分に何が合っていて、何が合わないかという「バウンダリー(境界線)」をクリアに引けるようになりました。ただ、その線を越えられたからすぐ別れる、ということではなく、ちゃんと自分のニーズを伝えて、相性を照らし合わせる。それでも合わなければ、お互いを応援して別の道を歩くという方法もありますよね。
Green Roomでの生活が、自分の殻を破るきっかけに
──共同生活の中で、良い意味で自分らしさが崩されたと感じる経験はありましたか?
カズユキ:僕は、人からいじられることが今まであまりなかったんです。でもみんなにいじってもらって、こんな愛され方もあるんだなと嬉しかったですね。
トモアキ:僕はバレーボールをやっていて、結構大人数のコミュニティなんです。そこではわーっと騒いだりするような盛り上げ役になることが多くて。その反面、たとえば少人数でご飯にいくとか、もっと小さなコミュニティを築くことが今までまったくなかったんですよ。最初、Green Roomでも無理に盛り上げようとしたけど、それも続かなくて、いざ誰かと2人とか3人になった時にどう接していいかわからなかったんです。今まで自分は全方向に矢印を向けるような対人関係をしすぎていたことに気づきました。自分の生きてきた価値観というか、自分が楽なように生きてきたんだなっていうのを思い知らされたというか。でも、みんながたまたまチェックのシャツを着て楽しそうにしている輪に入れず、部屋にこもってしまったとき、「このままじゃダメだ、殻を破らなきゃ」と思って、一人ひとりに直接謝りに行って「馴染めなくて寂しかった」と伝えました。そこからみんなが寄り添ってくれて、自分も殻を破ることができました。

ウィリアム・イザヤ:僕らは……最初から自分のまんまでいけたかな(笑)。
テホン:恋愛は追いかける派で、追われたら避けてしまうタイプでした。でもGreen Roomでは向き合わざるを得ない。今回、2人が好意を寄せてくれて、ありがたい気持ちもありつつ、怖さが先に出てしまったんです。本当の自分を見てくれているのか?シーズン1を見て、自分の一部分だけを評価されてないか?と。でも、好意を寄せてくれる人と向き合ってみたら、知らない間に自分も相手をめちゃくちゃ好きになっていた。これは新しい発見でしたね。
──Green Roomでの生活のどこに「豊かさ」を感じましたか?
ウィリアム:毎晩、みんなで集まって話したりゲームをする時間が一番楽しくて、ずっと続けばいいのにって思っていました。でも、期限があるからこそ楽しさと同時に寂しさもあって、より大切に思えましたね。
カズユキ:本当に年齢差も全然感じずに過ごすことができた時間だった。
イザヤ:Green Roomでの一番の楽しみは、やっぱりコミュニケーションだったよね。
トモアキ:そうそう。すごく白熱したトークがあったんです。お昼ご飯を作っているときから寝るまで、7時間くらいずっと話し続けたこともありました(笑)。
全員:あーあった!
イザヤ:「パートナーと歩いているときに、元カレに会ったら無視するか、紹介するか」っていう議論ね(笑)。
ウィリアム:あれは本当にすごい議論だった!
トモアキ:そういう一つの話題で何時間でも話せるくらい、すごかったよね。
マイノリティという立場だからこそ、できること
──社会の価値観が変わっていく中で、今のあなたが「ゲイとしての自分」を誇らしく、あるいは晴れやかに思うのはどんな瞬間ですか?
トモアキ:『ボーイフレンド』というコンテンツが存在すること自体を誇りに思っています。今までゲイというと、オネエタレントのような派手なキャラクターや、あるいはBL的な、きれいで純粋な恋愛ありきのイメージで一括りにされがちでした。でも、シーズン1を観ていた人にはすでに、僕らもみんなと同じように人と向き合い、悩み、恋愛をするんだということが伝わっていたし、ちゃんとそれを感じ取ってもらえていると思っています。観た人たちが共感してくれていることも嬉しいし、自分もそのきっかけの一つになれたのかな?と自分のことを誇りに思っています。
テホン:僕は「ゲイとして誇らしい」というよりも、マイノリティという立場にいるからこそ、当事者としての経験から、光の当たっていない他の集団に対しても思いやりや気遣いを持てることもあるのではないか、と思っています。もちろんゲイはセクシュアルマイノリティの代表ではないですし、僕自身ゲイの代表ではないのでこれもちょっと言いすぎかもしれないですが、微細な感情を感じ取れる部分は多少なりともあるだろうなと思っています。
──日本では「LGBT理解増進法(※2)」が施行されましたが、当事者として、実生活で本当に必要だと感じる「次の一歩」は何だと思われますか?
テホン:一言で言うと、理解してもらえたら嬉しいけれど、何より権利が必要だと思っています。理解は人によって揺れがあるものですが、権利は揺らぎません。だからこそ、ストレートの方と同じような、それに相当する権利というベースがあって初めて、本当の安心が得られるのだと思います。

──同性間の法律婚という枠組みがない日本社会で、パートナーシップを自分たちの手で守り抜くために、大切にされていることは何ですか?
カズユキ:お互いの時間をしっかりつくること。ずっと一緒にいるからこそ、一人になる時間が欲しくなるタイミングもどうしても出てくるんですよね。もちろんお互いに合意の上で決めることだけど、うちの場合は、もう何年も前から週末だけお互い別々の時間をつくるようにしています。
イザヤ:感情を溜めないことですね。自分の気持ちを伝えるようにしています。相手を傷つける言葉はもちろん避けつつ。伝えることによって、2人の関係が育ったり、何か次のステップに行けるようなテーマは積極的に話し合うようにはしています。
ウィリアム:僕は深く考えすぎると沼にはまって悩みすぎてしまうタイプなんですけど……。とりあえず一緒に笑える親友のような感覚を大切にしています。親友や仲のいい友達って何年もずっと心地よい関係が持続するじゃないですか。たわいのないことで笑い合える関係を意識していきたいですね。そのためにはお互いをリスペクトし合うことが大事だと思います。

テホン:イザヤも言っていたけど、自分が思っていることはちゃんと言うべきかな。もちろんそのためには、コミュニケーションの取り方を見直す必要もある。伝える側も相手を責めているわけではないし、伝えられる側も責められていると思わなくてよくて、真摯に向き合って話をする。溜め込むとモヤモヤが募ってしまうから。
トモアキ:自分が思っていることは、相手も同じように思っている、と考えたほうがいいと思う。こと、恋愛においては、自分ばかりが不満を持っていると思わずに、相手も自分に対して何か思っているかもしれないと想像力を持つことが独りよがりにならない秘訣だと思います。
一緒に背負ってくれる人は必ずどこかにいる
──かつてセクシュアリティについて悩んでいた頃の自分、あるいは今まさに悩んでいる当事者の方に声をかけるとしたら、なんと伝えますか?
カズユキ:セクシュアリティの悩みとは違うかもしれませんが、恋愛に臆病になっている人もいると思います。僕の15年は、気づいたら経っていた感覚なんです。とりあえず始めてみたら気づけば長い月日が流れていることもある。だから、そんなに構えずに、臆病にならなくてもいいよと言ってあげたいですね。自分自身、もしまた悩むことがあっても、Green Roomでの経験を思い出して、きっとまた同じ結論を出して、次の30年も歩んでいけると思っています。
ウィリアム:僕はクリスチャンの家庭で、父は軍人という厳しい環境で育ちました。実家で過ごしていた頃、自分のセクシュアリティに気づいたときは、もうクローズドでいるしかないと思っていました。 でも今はバルセロナという、日本と比べてもっとオープンな場所に住んでいます。そんな環境に自分がいるなんて、当時は想像もしていませんでした。この街では男性同士が普通に手をつないで歩いていて、それに反応する人もいません。初めて旅行で訪れたときは、感動して街なかで泣いてしまいました。
だから、若い頃の自分には「大丈夫だよ、その苦しみは永遠には続かない。いずれみんなが理解してくれる世界が来る」と言いたいです。
イザヤ:僕は「味方は絶対に近くにいるよ」と伝えたい。僕も最初は両親に言えなくて、20歳くらいの頃、友達のように仲が良い姉にカミングアウトしたのが始まりです。その後、会社の同僚などに話して輪を広げていきました。すごく勇気がいることだったけど、思ったより相手はすんなり受け入れてくれたし、伝えたことで前に進む勇気をさらにもらえたんですよね。だからこそ、必ず理解してくれる人はいるよと伝えたいです。
テホン:韓国もまだLGBTQIA+コミュニティへの理解が高いとは言えませんが、私はありがたいことに18歳のときから海外に住むことで自分らしくいることができました。無責任な言葉になってしまうかもしれませんが、当事者の方たちには「みんなが持っている欲望は意外と正しいから、そのままいっちゃえ!」と、背中を押してあげたいですね。
トモアキ:僕は地方の狭いコミュニティで育ちました。近所の噂話が飛び交うところで、家族もどちらかというとゲイに対して否定的な環境でした。小さい頃からずっと「自分は頭がおかしいんだ」と思って生きてきて、本当につらかった。でも大人になって、新宿2丁目でゲイの人たちがセクシュアリティを隠さずにお酒を飲んだり楽しく過ごせたりする場に出会えて「普通に楽しく笑っていいんだ」と救われたんです。もちろん物理的に来れない人もいるし、年齢もあるだろうけど、今はSNSもあります。もし一人で背負い込んでいる人がいたら、僕が味方でいると思ってほしい。一緒に背負ってくれる人は必ずどこかにいます。Green Roomのみんなが僕にとってそうだったように。

ボーイズに6つの質問!
もっと知りたい、ボーイズのこと。6つの質問に直筆で答えてもらいました。






