どんな幸せの形も、分かち合えると信じたい。『ボーイフレンド』シーズン2のBoysがいま話したいこと〜前編〜

Netflixで配信中のリアリティシリーズ『ボーイフレンド』シーズン2。2月3日に最終話が配信された本作について、BRUTUS.jpではボーイズ10名へのインタビューを実施。年齢も国籍もさまざまで、多様なバックグラウンドを持つ10人は、いま何を思い、どんな未来を見つめているのか。前編では、ヒロヤさん、リュウキさん、ボミさん、フーウェイさん、ジョウブさんの5人に話を聞きました。

photo: Narumi Tanaka / text: Daisuke Watanuki / design: Mei Asano / edit: Mutsumi Okazaki

たった一人に「勇気をもらった」と思ってもらえるなら

──世界で配信されるNetflixでセクシュアルマイノリティとして公の場に出ることは、勇気のいることだったと思います。その覚悟はいつ決まりましたか?

ジョウブ:覚悟というより、シンプルに楽しそう!ってワクワクしかなくて。だから、「よし、人生懸けるぞ!」みたいな決意はなかったですね。

フーウェイ:そのときのノリで決めた部分はあります。でも、根底を辿れば、自分が同性を好きだと自覚したときや、大学でジェンダー論やクィア研究を専門にすると決めたときから覚悟は決まっていたんだと思います。だから、いまさら構える必要もなかったというか。

ただ、さすがに初日はどう見られるんだろうとか考えてしまい不安でしたね。でも、最終的には「自分を全部出して、どう受け止められても構わない」って吹っ切れた。たとえ100人いて99人に否定されても、たった一人に「勇気をもらった」と思ってもらえるなら十分だなって。

ヒロヤ:生活が劇的に変わる不安は少なかったです。家族にもカミングアウト済みで、職場でも伝えている人が多かったので。ただ、学生時代の友達にどう見られるかな、という思いはありました。

ボミ:参加する直前まで悩んでいました。撮影初日も、もっと言えば生活が始まってからも「これが正しい選択だったのかな」って。恐れもあったけれど、それ以上にありのままの自分で生きたいという気持ちが強かったので、最後は自分を信じて飛び込みました。

リュウキ:当時、人生が停滞している状態でした。恋愛もうまくいかないし、自分のこともあまり好きになれず、正直病んでいた時期で。でも、そんな停滞している自分を変えたい一心で悩み抜いた末に参加を決めました。殻を破って、新しい場所で挑戦してみたかったんです。

──みなさんは共同生活を送るメンバーであると同時に、恋愛においてはライバルという側面もあったはず。それでも間には、独特の連帯感があるように見えました。

ヒロヤ:これをまっさきに喋るべきは僕ですよね(笑)。ライバルだから相手を蹴落とそうなんて気持ちは、1ミリも湧かなかったです。家族みたいな関係性をみんなとつくれていたからこそ、後腐れなく正々堂々といくしかないというコンセンサスが形成されていた気がします。後半なんて、ジョウブが頑張っている姿を見て、「彼に報われてほしい」という気持ちが全面に出てきて、自分と友達の幸せを天秤にかけて本気で悩んだ瞬間もありました。

ジョウブ:たしかに状況としてはライバルだったけど、それで困ったことは一度もなかったな。ライバルの関係より先に揺るぎない友達としてのつながりがありました。

──2ヵ月の共同生活はいかがでしたか?

ヒロヤ:一瞬だったよね。

ジョウブ:あと2年はいけますよ(笑)。

フーウェイ:大家族みたいな感じでした。僕らに血縁関係はないけれど、あの2ヵ月間で自分をさらけ出せたおかげで、何かあったときに頼れる大切なつながりになった。そんな関係を築けたからこそ「家族」のあり方を改めて考えさせられました。

写真提供/Netflix

──日本ではまだ同性婚などの法整備が整っていないなかで、自分たちで選んでいく「Chosen Family(※1)」に値するような関係だったと。

フーウェイ:これまでの生活では「迷惑じゃないかな?」と気を遣っていた場面でも、このボーイズなら気を遣わなくてよかったですね。

ヒロヤ:いまでも、頻繁にお泊まり会をしてるんですよ。僕の家が東京の拠点になっていて。関西のみんなも遊びに来てタコパしたり。本当に、番組が終わった後も関係が続いています。

客観的に見て気付けた、自分の新しい一面

──配信を見て、自分の恋愛スタイルを客観的にどう見ましたか?

ボミ:最初に思ったのは、「僕って好きな人を見るとき、あんな顔をするんだ」って。正直、恥ずかしくて見ていられない部分もありました。僕はドラマチックな恋愛に憧れというか、夢があって、そういう恋愛に対する願望をベースに動いていたんだな、と気付かされました。だからこそ、現実の恋愛の難しさも感じたというか。

フーウェイ:僕は自分の恋愛を見て下手くそだなって思いました。

写真提供/Netflix

ヒロヤ:そんなこと思うんだ?

ボミ:下手くそというか、不器用だよね。そこがまたいいんだけど。

ヒロヤ:個性だもんね。

ジョウブ:僕は、イザヤとウィリアムがイチャイチャしているとき、こんな顔して見てたんだなって(笑)。

ボミ:めっちゃかわいかったけど!

ジョウブ:自覚はなかったんですけど、左目でチラチラ見てて、あからさまに嫌そうな顔をしてた(笑)。

ヒロヤ:ジョウブ、眉毛がピクピクしてたよ(笑)。

ジョウブ:あんなに顔に出てるとは思わなかったから。

ヒロヤ:僕は感情を出すのが昔から苦手で、素直に出せる人を羨ましいと思っていました。でも、フーウェイがパスタをあーんしてくれたときの僕を見て、みんなに「ヒロヤ、めっちゃいい顔してるね」って言われたんです。それが意外で。僕もあんな表情ができるんだって発見でした。

──ほかに気付いた自分の新たな一面はありますか?

リュウキ:僕は、思った以上に自分の声が小さすぎて……。

ボミ:あはは、でもリュウキは本当に成長したよね。最初はベイビーだったのに。

ヒロヤ:最近は顔つきがキリッとした。最初はずっと前髪を触っていて、自信がなさそうで。いま、堂々とインタビューに答えている姿を見ていると、立派になったなと思います。

Netflix提供写真。談笑するヒロヤ
写真提供/Netflix

ネガティブな面もさらけ出す大切さ

──『ボーイフレンド』に出演して、自分自身の中で「ここが変わった」と思う部分は?

ヒロヤ:僕は20代を仕事に捧げていて、人付き合いをどこか疎かにしていた部分がありました。だから、この年になって恋のライバルができたり、泣きながら友達とケンカするなんて想像もできなかった(笑)。でもその経験が、いまは大きな自信になっています。今年はもっとオープンに新しいつながりをつくっていきたいです。

ジョウブ:僕はずっと「常にポジティブで、笑顔だけを見せるべきだ」と思っていたんです。でも、悩みをみんなに相談する中で、ネガティブな面をさらけ出す大切さを学びました。ボミが親身に話を聞いてくれたおかげで、一歩前に進めたこともあったし。全部を出すことで気持ちが晴れるんだと知って、いまはマジでスーパーハッピーです!

ボミ:ハピネス!

フーウェイ:僕はこれまでに、国外での生活や複雑な家庭環境、スポーツの寮生活などで、時にホモフォビア(※2)な空気にさらされてきました。そのすべてを受け止めてしまうと、心が持たないんですよね。だから傷つかないために、恋愛やあらゆる物事を一歩引いて捉えて、心に分厚いフィルターをかける癖がついていたんです。
でも感情をストレートに表現するボーイズに囲まれて、そのフィルターを少しずつ薄くすることができた。たまには自分の感情をそのまま出してみようかなと思えました。

ボミ:僕も素直に気持ちを伝えることが苦手で。サプライズをしてもらったとき、素直に「めっちゃ嬉しい」と言葉にできなかったことを反省しました。ついツンデレの「ツン」が出てしまう。でも相手はこちらの態度をそのまま受け取ってしまうから、不安にさせてしまうんですよね。これからは喜怒哀楽をしっかり出していこうと思いました。

写真提供/Netflix

リュウキ:僕は小さい頃から、周囲に自分の性的指向を話しても「いい反応はもらえないだろう」と諦めていたんです。でもGreen Roomでみんなで話をして、さらけ出すことが楽しいと思えるようになって。カミングアウトについてはもちろんいろんなあり方があっていいと思いますが、ほかの場所でも意外といろいろ言ってみてもいいのかなと思えるようになりました。

違いを恐れず、受け入れられる関係に

──全員がお互いの個性を認め合える、祝福に満ちた『ボーイフレンド』の世界から、現実の世界へと戻ります。いまの率直なお気持ちを教えてください。

フーウェイ:現実社会には多様な考えを持つ人がいます。ホモフォビア的な発言をする人も、彼らが信じる「幸せの形(たとえば男女で家庭を築くこと)」とは違うものが急に現れたから、怖がっているだけなのかもしれない。でも、彼らの幸せと僕らの幸せは対立するものではなく、分かち合えるものだと信じています。「多様性」という言葉は突然現れた概念ではなく、本来すでにそこにあるもの。お互いの違いを恐れずに生きていける、そんな社会になってほしいですね。

ヒロヤ:共同生活の中で、イザヤとウィリアムが「いつ結婚したい?」と自然に話していたのが印象的でした。彼らが暮らすオーストラリアやスペインには法制度(※3)があるからこそ、あんなに密で自然な会話が生まれる。一方で日本にいる僕たちは、その選択肢すら想像しにくい環境にいます。日本にも制度があれば、同性同士のパートナーシップへの考え方はもっとポジティブに変わるはずです。

ボミ:僕は、10年来の親友に初めてカミングアウトしました。すごく怖くて疎遠になる覚悟でしたが「なぜいままで言わなかったんだ、俺たちの関係はそんなもんだったのか」「(言えないことが)苦しかったよね」と言ってくれて、泣いちゃいましたね。この番組への出演は、僕の人生の大きなターニングポイントになりました。

リュウキ:SNSでも、男友達や女友達から自然に応援コメントをもらいました。ひと昔前だったら自分みたいな年齢ぐらいの子って多分、誰にも言えなかったと思うし、すごい苦しんでた人が多かったと思うけど、20歳の僕が、こうして気持ちよく自分を表現できる社会になりつつある。日本もいい社会に変わってきているんだなと実感しています。

──共同生活を経て、「愛」の定義に変化はありましたか?

ジョウブ:定義は人それぞれ違うんだなと学びました。考え方も伝え方も、一人として同じではない。たとえば僕が考えている愛と、テホンが考えている愛は違うし、何が正しいとかもない。だからこそ、自分の正解を押し付けず、相手としっかり話し合って、すり合わせることが大切なんだと感じています。

ボミ:ジョウブの言う通り。僕は少女漫画のようなキュンキュンする恋愛にとらわれすぎていた。でも、愛の形は育った環境によってもみんな違う。それを互いに受け入れて、享受し合える関係こそがベストなのかなと思います。

──この2ヵ月間で得た一番大切なものは何でしたか?

ジョウブ:9人の仲間です!

全員:本当それ!

ジョウブ:みんな仲が良くて、それが一番嬉しい。本当にいい仲間に出会えました。ここ、絶対に使ってくださいね!(笑)

『ボーイフレンド』シーズン2のBoys10名

ボーイズに6つの質問!

もっと知りたい、ボーイズのこと。6つの質問に直筆で答えてもらいました。

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