挑戦のたびに新しい才能を開花させる、K-POP界の異才。プロデューサー・ソヨンが語る〈i-dle〉

アイドルの在り方が変わるように、アイドルを支える側の視点もユニークに変化している。新時代のグループを作り上げる名プロデューサーたちは、今のシーンをどのように捉え、どのようなアイドル像を目指しているのか。韓国アイドル〈i-dle〉のリーダー兼統括プロデューサー、ソヨンに話を聞いた。

photo: Muku Ikegami / translation: Kim Jinon

2018年に韓国のCUBE Entertainmentから登場し、その音楽性が高く評価され新人賞9冠に輝くという鮮烈なデビューを果たした〈i-dle〉。

その後も中毒性のあるメロディの「TOMBOY」や強烈なメッセージを内包した「Nxde」など、数々のヒットソングを発信し、世界中のファンを魅了してきた。そんな〈i-dle〉で特筆すべきは、作詞・作曲、編曲に振り付け、MV制作にメンバー自ら参加するセルフプロデュース・グループであるということ。

その中心には、リーダーであり、統括プロデューサーのソヨンという異才の存在がある。彼女のプロデューサーとしての考えを聞くべく、日本初ツアーを終えたばかりのソヨンを直撃した。

i-dle ソヨン
Soyeon/そよん
〈i-dle〉のリーダー兼統括プロデューサーとして活動。自分のグループだけでなく、他アーティストなどのプロデュースや楽曲提供も手がける。

「幼い頃から音楽が好きで、いつか自分で曲を書いてみたいと思っていました。ラッパーとして音楽活動をする中で、スキルは自然と身につきました。デビュー曲の『LATATA』も最初からプロデュースするつもりはなくて、その瞬間に歌いたいことを曲にしただけなんです」

その言葉にもあるように、〈i-dle〉の楽曲は強いメッセージやコンセプトが感じられるものが多い。それが聴く人の心を揺らし、共感を生む。

「曲を作る時はまずタイトルから思い浮かべます。それによってメロディや歌詞が生まれる。私が一番大切にしているのは、その曲で“どんな話をしたいのか”。それが柔らかな印象になる時もあれば、強いメッセージになることもある。

〈i-dle〉の曲は幅が広いと言われますが、その瞬間に感じたことや伝えたいことが違うから、自然と色々なスタイルの楽曲が生まれているのかもしれません。伝えたいことのために、新しい挑戦をしているにすぎないんです」

外から見るとソヨンの才能の豊かさには目を見張るものがあるが、本人いわく「自分は幅が広いタイプではない」。ではどのように様々な曲をプロデュースしているのか。

「一つのコンセプトに没入する時に、新しい自分に出会えるんです。例えば『Wife』の時は、とにかくラップだけに集中しようと思って自分の殻を破ることができたし、『どうしよっかな』の時は、初めての日本EPということでJ-POPの要素を取り入れようと模索した結果、今までにないサウンドが生まれました。

日本のアニメソングに着想を得たのですが、実はそれはK-POPに触れるより前の自分の音楽の原体験なんです。そこに気づけて、また一つ新しい自分に出会えました。私はいつも壁の前にいて、それを乗り越えるためにもがき続け今の〈i-dle〉があるんです」

i-dle
日本ツアー時の一枚。メンバーは写真左からミヨン、ミンニ、ウギ、ソヨン、シュファ。

とことん悩むタイプだと自己分析するソヨンは、悩み、自分と向き合い、その気持ちを歌にする。それゆえ〈i-dle〉の曲は多くの人に刺さるのだろう。そんな彼女は、メンバーの個性をどのように捉えているのか。

「ミヨンは曲に安定感を与えてくれます。彼女が歌うことで曲に親しみやすさが生まれる。ミンニはとても魅力的な声の持ち主。どんな曲でも欧米のポップスのように歌ってくれる。ウギはとてもユニークで、K-POPアイドルの中で一番低くてセクシーな声を持っています。シュファは表情の豊かさが魅力ですね。前に出た時にインパクトを与えてくれる存在。

そして私は、確かな実力の持ち主だと自負しています。私がいることで安定感のあるグループになる。プロデュースにあたって、メンバーの性格や日々の行動など、すべてを知る必要があると思っています」

ストイックなプロデュースの手腕で〈i-dle〉を世界的なグループへと作り上げたソヨンの今後の目標は?

「〈i-dle〉やほかのグループのプロデュースはうまくいったのですが、実は自分自身をプロデュースしたことがなくて。自分を完璧にプロデュースしてアルバムを作りたいですね」

「どうしよっかな」/i-dle
25年10月リリースの日本1st EP『i-dle』のリードトラック。日本のアニソンに着想を得た、懐かしいメロディが心地よい。「私の原点のような音を軸に制作。MVも日本的な映像にしたくて、日本の港町で撮影をしました」

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