話を聞いた人:木村ミサ(KAWAII LAB.総合プロデューサー、モデル)
きむら・みさ/1990年群馬県生まれ。雑誌『Zipper』でモデルデビュー。その後アイドルグループ〈むすびズム〉のリーダーを務め、2022年〈KAWAII LAB.〉の総合プロデューサーに就任。地元・群馬でも館林市ふるさと応援大使などを務める。
全員が主人公になれるアイドルプロジェクトでありたい
色とりどりの衣装で自由に歌い踊る姿、等身大だけどユニークな歌詞、一瞬で耳に残るキャッチーなメロディ。アイドルも多様性が歓迎される時代、その先頭を走るのがアイドルプロジェクト、〈KAWAII LAB.〉。
揃えることよりメンバーの個性を打ち出すビジュアルやパフォーマンスで世の中を席捲する、その魅力の背景にあるのはプロジェクトを運営する〈アソビシステム〉の拠点、原宿のカルチャーだ。
「私自身がアソビシステムに所属していた元アイドル。原宿カルチャーを肌で感じて育ったことがアイドル育成にも大きく影響していると思います」と、語ってくれたのはプロデューサーの木村ミサだ。
「原宿では、個性=オンリーワンの魅力。そこから発信するアイドルだからこそ、多様性を大事にしたい。それが〈KAWAII LAB.〉の始まりだったんです。特に最初のグループの〈FRUITS ZIPPER〉は個性が強くて、それを認めないと成立しないという側面もあったかも(笑)。
とはいえみんなが主人公になれるようなアイドルプロジェクトでありたいというのが出発点。見た目もそうで、自分らしいスタイルで活動してほしいと思っています。
実際、〈FRUITS ZIPPER〉の仲川瑠夏や〈CUTIE STREET〉の古澤里紗は金髪だし、〈CANDY TUNE〉の宮野静は今はメンバーカラーの紫髪かな?もちろん、グループ内でのバランスは大事ですが」
メンバーたちが髪形やメイクで迷った時は、アイドル経験者で年齢も近い木村の元に相談に来るという。その距離感の近さは、これまでのプロデューサーとアイドルの関係性のイメージと一線を画す。
「4グループのうち、上の2組、〈FRUITS ZIPPER〉と〈CANDY TUNE〉は最初の頃は、ほぼ全ライブに私が同行していたこともあって特に距離感が近いです。4グループとも、デビュー時には一人一人としっかりと面談して“どういうアイドルになりたいのか”を話したり、意識的に対話したりするようにしてきました。譬(たと)えるなら部活の顧問のような立場。“あ、今日顧問来てる!”って、気が引き締まるくらいがちょうどいい(笑)」
そして〈KAWAII LAB.〉には、アイドルや俳優、モデル、インフルエンサーなど、様々なキャリアを持ったメンバーも多い。その経験も〈KAWAII LAB.〉の強みと見えるが……?
「確かにインフルエンサー出身の子は情報の広げ方がうまい、とか強みになっていることもありますね。でも過去に何をしていたかより“それでもアイドルになりたかった”という思いの方が大事。インフルエンサーを集めてアイドルグループを作ったと思われているかもしれませんが、実際は真逆。いろいろやったけどやっぱりアイドルが夢だった。そういう子が集まってできた場所が〈KAWAII LAB.〉なんです」
FRUITS ZIPPER
東京ドーム公演を控えた個性豊かな7人組

CANDY TUNE
見るだけで元気になる明るさと発信力が魅力

SWEET STEADY
王道のカワイイを追求する、7人組の“花束”

CUTIE STREET
オーディションを越えてきた団結力が強み!

ライブで人を元気づける。それがアイドルの意義
柔らかい口調の中にも、確かな意志を感じさせる木村の言葉。そのアイドル活動を通して培った感覚とブレない意志こそが、プロジェクトを牽引する力になっている。
「自分に置き換えた時に、負担に感じることは無理にさせないようにしています。例えば、露出の多い衣装を好まない子には露出が少ない衣装にする、とか。商業的なことを考えたらやるべきことはあると思いますが、本人たちがどう思うか、その意思を尊重したいんです。
アイドル本人たちが主体的にやることで、共感や説得力が生まれると思うから。楽曲もそう。本人が共感できるものの方がより魅力的なパフォーマンスができると思うし、観る側に届く力も変わってくる。実際ファンの人も、メンバーが好きなものが好きだったりしますよね?」
実は木村自身、強火のアイドルファンでもある。特にその“ファン目線”が生きるのは、ライブ作りだと打ち明けてくれた。
「すべての活動の成果が集約する場所がライブ。ライブのステージで最高に輝いていないとアイドルじゃない!とまで私は思っているんですよね。ステージで歌って踊る姿を観て励まされて、明日も頑張ろうってアイドルファンなら思うもの。推しの色の服を着たりとか、通学通勤でアイドルソングを聴いたりとか、アイドルがいることで日常の嫌なことをちょっとだけ頑張れたりすると思います。
だからこそアイドル自身、ライブを大切にしてほしい。実際、私自身も体験していることなのですが……、ステージから遠ざかるとファンは急に離れていくもの。残酷だけど、それって歌って踊ることで人を元気づけることがアイドルの本職だからだと思うんです」
その木村の思いを汲んで、各グループが歌唱力やダンス技術に並々ならぬ向上心を持ってレッスンに励んでいる。
「自分の現役時代はボイトレも、ダンスレッスンも手探りで、どうやって技術を伸ばせばいいかわからなかったという心残りがあって。だから自分がグループを作るならレッスン環境を整えることが絶対条件。そして生歌を頑張ること、練習熱心であること。当初からの数少ないルールですが、今も大事にしています」

流行として終わらせず文化として根づかせたい
〈KAWAII LAB.〉を語るうえで欠かせないエッセンスはまだまだある。その一つが楽曲だ。SNSで爆発的なヒットを呼ぶ、一瞬で耳に残るメロディ。大人にあてがわれた物語ではなく、ありのまま、彼女たちの等身大の思いが織り込まれた歌詞も同世代の共感を生んでいる。
「メンバーがどんな子で今何に夢中になって、どんなことを考えているか。そういうヒアリングを基にできた歌詞も多いです。例えば〈FRUITS ZIPPER〉の『わたしの一番かわいいところ』は、メンバーの松本かれんが当時マカロンのサブスクにハマっていて(笑)、毎日1個のマカロンをご褒美として愛(め)でていた。
そこから“毎日何十秒、褒められまくったお菓子は”という歌詞をヤマモトショウさんが書いてくれました。私は楽曲制作にコミットしている方ですが、プロの皆さんにもっとお任せしていいんだと気づいて。今は大きなテーマを説明して、それに加えて雑談レベルでメンバーの近況をお伝えするくらいにとどめています。
結果プロのクリエイティビティとメンバーの個性が結びついた曲がより多くなってきている。それが私たちの強みなのかな。あとメンバーカラーの衣装も注目されますが、当初はそこまで重視していなかったんです。でも淡い色味の衣装を作った時に識別が曖昧だと思い、以来はっきりした色を意識しています」
そして秋からはオーディションドキュメンタリー番組『「ゴールデンドリーム」KAWAII LAB.合宿編』がオンエア。研究生〈KAWAII LAB. MATES〉の成長に注目が集まり、プロジェクトの新章突入を予感させる。
「デビュー前の成長を見守るのもファンの醍醐味。その企画も含めて、私たちへの注目度が上がっているのを実感しています。でも私自身が子育て中ということもあり、客観的な視点も持てているんです。“すごい勢いですね”みたいに言われることもあるけど、まだ一般的には浸透していないと思っていて。でもメンバーたちはこの追い風に乗って、私たちの発信する“カワイイ”を世界に広めてほしい。
今の勢いを一過性のブームで終わらせないで、文化として根づかせたい。原宿カルチャーが長い時間をかけて浸透したように。そのためにもメンバーと運営、一丸となって進んでいきたいです」
〈KAWAII LAB.〉をもっと知るためのディスクガイド
FRUITS ZIPPER

7人の豊かな個性が楽曲にも表れていて、王道のアイドルソングから感情を揺さぶるバラード、ライブで盛り上がるダンスチューンまで実に幅が広い。
CANDY TUNE

バンドセットを用いたライブやロックテイストの楽曲など、ほかの3グループに比べ力強いサウンドが特徴。聴くたびにポジティブな気持ちになれる曲も多数!
SWEET STEADY

全員がアイドル経験者ということもあり、歌唱力やダンスが高レベルでライブパフォーマンスにも定評がある。確かな実力で歌い上げる王道のアイドルソングを。
CUTIE STREET

デビューから1年ちょっととは思えない速度で成長を続け、リリースのたびに新しい顔を覗かせる。仲の良い8人によるハッピーオーラ全開な楽曲が楽しめる。