時計とスタイル:スタイリスト・服部昌孝のケーススタディ

シャツの袖と自然に馴染むか、リングとのバランス感は絶妙か。あるいは、腕から外したときにどのように飾るのか。どの一本を選び、どう付き合うのか、そこに“スタイル”というものが生まれるのかもしれません。スタイリスト・服部昌孝が語る時計とスタイル論。

photo: Kazufumi Shimoyashiki / text: Keiichiro Miyata

過渡期の1‌9‌8‌0〜90年代ものを、面白がり、自分らしく取り入れる

装いはいつも黒一色。Tシャツの絵柄が変わるくらいで、ほぼ固まっている服部昌孝さんの装いに、新しい風を吹き込んだのが時計だった。

「きっかけはコロナ禍です。自分を成長させるため何か始めようと思い、車とバイクの免許を取ったことがすべての始まりで、旧車にハマり、90年代以前を掘る流れで“時計の沼”にもどっぷりと浸ってしまって」

中でも、製品のデジタル化が進む1980〜90年代のものは服部さんの言葉を借りると「えぐい!」そうで独自性に溢れているという。

「過渡期ならではの、新しいことに挑戦しようとする姿勢をデザインから感じます。〈カルティエ〉の『トリニティ』から着想を得た『マストタンク』は象徴的な一本です」

〈カルティエ〉の「マストタンク」
いつもの装いからスーツまで、「マストタンク」は幅広いシーンで活躍。

この時代はバブリーで、服部さん好みの“ダサカッコイイ”ものも多いそうで、「誰が似合うの?」と周りが噂するくらいアクの強いものもツボとか。鮮やかなワニ革ベルトの〈ピアジェ〉は、まさにそれ。

「笑っちゃうくらい派手なデザインですよね。存在感があって、それも俺らしくていい」とニヤリ。着ける時計は気分で決めているそうで、「靴と色合わせすることはあります」という以外、細かなことは考えないのが緩いマイルール。

〈ピアジェ〉の1990年代製の角形時計
薄型のムーブメントが特徴的な〈ピアジェ〉の1990年代製の角形時計にはベルトと同系色のコンバースを合わせる。

「いつもの装いにハマるのもありだし、ハズシになるのもあり。それくらい余裕を持って構えた方が先入観なくいろいろな時計が楽しめる」

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