スピーカーを再構成し新たな価値を創造
——代表作であるスピーカーの作品で広く知られていると思いますが、主な活動を教えてください。
作品制作を主な活動にしたのは、この3〜4年で、その前は10年ほど主に広告のアートディレクター兼美術監督をやっていました。例えば、〈NewJeans〉のファンクラブ〈Bunnies〉のイメージ作りとか、ファッションブランドのショーのアートディレクションを担当したり、化粧品のキービジュアルを担当したり。様々な仕事をしました。
——ヴィンテージスピーカーを集め始めたきっかけは?
もともとモノを集めるのがすごく好きで。集め始めたのは大学生の頃です。セントラル・セント・マーチンズでニットウェアを専攻しました。ロンドンはエリアごとに小さなアンティークマーケットがあるので、週末になると友達と一緒にマーケットを訪れて、物を集め始めました。ロンドンでは、質の良い古いヴィンテージ品が手軽に見つかるんです。
自転車のパーツだけを買い集めて、1台自転車を組んで乗ったり、写真家の友達も多かったので、様々な機能別のカメラを集めたりもしました。スピーカーやその部品を買い始めたのもこの頃です。スピーカーは、技術力も高いしデザインもいい日本製のものが好きでしたね。韓国に帰ってきてからは、ヴィンテージの眼鏡を集めるのにハマった時期もあります。前に数えた時に1200個はあったのを記憶しています。
——ファッションデザインで、影響を受けたデザイナーは?
一番好きだったのは、マルタン・マルジェラ。あとは、ヨウジ・ヤマモト、イッセイ・ミヤケ、そしてリック・オウエンスは好きでよく見ていました。デザインを勉強していた時に好きだったデザイナーたちの美意識や感性が、私が今、作品として作り出しているものの美意識に影響を与えているのだと思います。また、技術力や完成度の高さ、仕上げの美しさといった点も、彼らの仕事から学び、私が作品で力を入れているポイントでもあります。
——ヴィンテージ品を蒐集(しゅうしゅう)し、ファッションデザインを学び、広告の世界でお仕事をされていて、作品制作はどのように始まったのでしょうか?
アートディレクターの仕事と並行して蒐集はしていて。私のスタジオは70坪くらいあるんですが、ある時、ヴィンテージオーディオでびっしり埋まるほどになったんです。それを見た、友人のギャラリストが、ギャラリーが空いている時に好きに展示していいって言ってくれて。それで、スピーカーを持ち込み、別のパーツを新たに組み換えたりしてレゴブロックを組み立てるようにオブジェを作ったのが最初でした。
最初は、単なるオブジェだったんですが、その後はいくつものパーツを組み合わせて、音がきちんと出るようにしています。最初に展覧会を開いた時から、嬉しいことに作品を購入してくれる人が現れて、その後はギャラリーに依頼も入るようになって、現在に至ります。
第1作のコレクターにファッションブランド〈NOICE〉のクリエイティブディレクターの方がいて、その後シーズンビジュアルを担当したり、本店に設置して音楽を鳴らしています。

──作品制作は最初にコンセプトを立てるよりも手を動かしながら考える感じなのでしょうか?
そうかもしれません。パーツをとにかくたくさん集めて考えながら組んでいくと、ある瞬間アイデアがひらめく。私は、聴いたことのない音を作り、唯一の何かを作るために作品制作をしています。良質なスピーカーが欲しい方は、ハイエンドオーディオを買うことをおすすめします(笑)。
──展覧会では音楽も流しているそうですが、どのような?
2023年の展覧会では、私の好きな曲を流したり、観客が持ち込んだ曲を聴けたりするようにしました。24年は、私が作った装置にDJのSHORT FINGERが11チャンネルの音楽を鳴らし、デジタルクリエイターのSOUTHBIGが映像を出すというインスタレーション作品を展示しました。コレクティブとしての活動はとても面白かったので、今後は彼らとの活動が続きそうです。

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