グルマン温故知新:広尾〈自然派ワインと家庭料理 すず〉しつらえに中華の名残、味はイタリア

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「“小料理然”な実力派」。「ちょっと引っかける」つもりで寄ったのに、食べて飲んで大満足。ワンオペカウンターの精鋭を、広尾で見つけた。イタリア料理育ち。酒の揃えも文句なし、シグニチャーな肉料理も魅惑的だ。馴染みになりたい1軒。

photo: Shin-ichi Yokoyama / text: Kei Sasaki

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自然派ワインと家庭料理 すず(広尾)

しつらえに中華の名残、味はイタリア

広尾商店街の裏に広がる住宅街の一角。昭和の時代に産声を上げた町中華が、真っ赤なテントの外装を残したまま、矢花すずさんの手に引き継がれた。やはり中華の名残の高火力な厨房を自在に駆使し、前菜から肉のメインまでアラカルトで揃えるイタリアンの小食堂である。

5年間務めた銀座の老舗〈三笠会館〉のイタリア料理店を皮切りに、日本橋〈ラ・ボンヌ・ターブル〉など都内の繁盛店で修業し、「食材や生産者に近い場所へ」と、宮崎県に移住。ホテルの立ち上げに携わり、ブランド牛の生産者の下で1ヵ月間、精肉の加工を学んだ。気合の入ったキャリアは、野菜のみずみずしさや凝縮感を生かした前菜やパスタに、シンプルながら塩も火入れもぴたりと決まったステーキに、きちんと表れている。

酒は〈ラ・ボンヌ・ターブル〉でおいしさに目覚めたナチュラルワインが柱。柔和ながら毅然とした接客も印象的で、小さな店の凜とした空気もよい。

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