「詞を書くという行為を愛してはいないかもしれない」。〈Suchmos〉YONCEが愛を歌うときは

2025年待望の復活を遂げたSuchmos。新譜には、結婚をテーマにこれまでになくストレートに愛を表現した一曲「Marry」があった。飾らず、真っすぐに音楽と向き合うバンドマンが語る、作詞への葛藤と、愛について。

photo: Shingo Kanagawa / text: Katsumi Watanabe

「Marry」は、小学生からの友達の結婚式で歌うために、2022年のコロナ禍の最中に作りました。結婚を題材にしながらも、友達に向けたラブソングでもあって。デモ音源をドラムのOKに聴かせたら「バンドでやろう」ということになり膨らませましたが、歌詞自体は作った当初から変わっていないんです。

本当に友達へ手紙をしたためる感覚で、ここまで個人的な歌詞は、バンドでは初めてですね。頬杖をつきながら、10分くらいで書けました(笑)。

まず「Marry」には、結婚する2人が、ずっといい感じで生きていってほしいという気持ちを込めました。それから、パートナーシップやリレーションシップのような、最大公約数的な愛に言及したいとも思っていました。

結婚は一つの契約だけど、お互いの属性や社会的な立場、年齢など関係なく「ずっと友達のような関係でいられると思うよ」ということも歌いたかった。お祝いする気持ちは本心だけど、言葉を選んだプロセスというのは、マジで覚えていないんです。

改めて歌詞を見直すと、夢想家のキザな歌ですね。「世の中、そんなに簡単じゃない」とかお叱りを受けそうですが、こんなご時世だからこそ、理想を述べたかった。今は景気悪いこと言っちゃダメでしょう。世の中が少し明るくなるように意識して書きましたね。

今まで俺は 何者でも無かったけれど
君と命を分け合って生きて行きたいよ

Suchmos「Marry」
2025年7月に発表されたSuchmosの最新EP『Sunburst』に収録されたラブバラード。

しかし、バンドを始めた頃は、つらつら書けていた歌詞が、聴いてくれる人の数を意識した途端、下心が芽生えて、考えるようになっちゃった。だから、クソだるいんです(笑)。

もう歌詞を書くという行為を愛してないかもしれない。嫌いだし、好きだし。愛憎に近い感情だと思う。歌詞が出来上がるまでの時間は、もう最悪な気持ちで、前日のデモを聴き返し「てんでダメだな」みたいな。それとは裏腹に「これだ!」ということが言えたとき、全能感に溢れる。その繰り返しです。苦労も多いけど、やめていないんだから、歌詞を書くのは、やっぱり好きなんでしょうね。

歌詞を書き続けるという意味で、サザンオールスターズの桑田佳祐さんは本当にすごいと思う。小学生の頃から大好きな「TSUNAMI」など、大人なのに中学生みたいなピュアな歌詞を作り続けていて。好きな人と見つめ合って素直にしゃべれるのが大人だとしたら、オレは大人になんてならなくていいと思う。自分自身もおしゃべりできない側の、かっこいいおっちゃんになりたいですね。

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