「いいラブソング」の定義は時代とともに変わる?元〈GO!GO!7188〉ユウ×KAWAII LAB.プロデューサー・木村ミサのラブソング対談

「いいラブソング」の定義は時代とともに変わるものなのか。そんな問いに向き合うべく、かつて〈GO!GO!7188〉で平成女子の心を掴む楽曲をあまた生み出してきたユウ(G、Vo.)と、KAWAII LAB.総合プロデューサーとして令和の女性アイドルをプロデュースする木村ミサの対談が実現した。

photo: Naoki Matsuda / hair & make: Yu:Miho Masuyama, Kimura:Yuki Takahashi(Lysa) / text: Mie Sugiura

ラブソングに、思い出を閉じ込めて

木村ミサ

中学のときに友達に薦められて以来、自分の青春時代に一番聴いていたのが〈GO!GO!7188〉だったので、今日はお会いできて嬉しいです。緊張しています(笑)。

ユウ

嬉しいです。

木村ミサ

〈GO!GO!7188〉のラブソングといえばやはり「こいのうた」ですよね。すごくよく聴いていました。

ユウ

よく「昔、聴いていました」と言われることはあるんですけど、当時はまったくそんな実感がなくて。「こいのうた」を着メロにすると恋が叶うみたいな、そんなおまじないが流行ってるっていう話も耳にしたけど、当の本人たちは「ほんとに?」っていう感じでした(笑)。

木村ミサ

思い出しました。手書き文字の歌詞画像みたいなのがあって、私、「こいのうた」の歌詞画像を待ち受けにしてました。

ユウ

そんなのあったんだ(笑)。時代を感じますね。今私はチリヌルヲワカっていうバンドをやっていて、若い世代のバンドと対バンすることもよくあるんですけど、いろんな人に「コピーしてました」って言われるんですよね。それで今ようやく、〈GO!GO!7188〉がたくさんの人に聴かれていたんだなって実感してます。

木村ミサ

「こいのうた」はほんとに私にとっても大切な歌で。思い詰めた感じではないんだけど、「きっと今のあたしには あなた以上はいないでしょう」とか、自分の意思をはっきりと伝えている感じが、今の時代にも合っているような気がして。

ユウ

アッコ(元〈GO!GO!7188〉B、Vo.)が歌詞を書いていたんですけど、私もこの曲はストレートなラブソングだなと思ったので、メロディもど直球なラブソングという感じの曲にしたいと思った記憶があります。いつも詞先だったんです。後半には曲先も増えていったんですけど、私は歌詞を読んでるうちにメロディが浮かんでくるみたいな感じでしたね。

教えてください神様
あの人は何を見てる?
何を考え 誰を愛し
誰のために傷付くの?

GO!GO!7188「こいのうた」
2000年リリース。デビューアルバム『蛇足歩行』収録。GO!GO!の圧倒的ラブソング。

木村ミサ

「教えてください神様 あの人は何を見てる?何を考え 誰を愛し 誰のために傷付くの?」っていうところですごくドキッとしたんです。恋の気持ちをこの曲に言い当てられたような気がして、この落ちサビになった瞬間に、自分が恋について考えてしまうというか。

ユウ

確かにここの歌詞は少し視点が変わるところかもしれない。

木村ミサ

だから今もこの曲を聴くとまだ幼かった自分の恋を思い出します。2005年リリースの〈チリヌルヲワカ〉の「カスガイ」も、当時の私にとっては衝撃でした。最後の「ボクの手を離すキミさえも受け入れる」って、究極の愛を感じて、すごいなと思ったんですよね。

ユウ

わあ、〈チリヌルヲワカ〉も聴いてくれてたんですね。

木村ミサ

はい。これはユウさんの作詞ですよね?すごく好きな曲です。

ラブソングが映し出すのは時代というより世代

ユウ

いいラブソングとは?と問われて私が思い浮かぶのは、〈THE BOOM〉の「星のラブレター」ですね。サビの「愛してます」はわかるけど、そのあとの「好きにしてよ」って、シンプルだけど普通は出てこない言葉だなあ、でもピュアだなあって。この曲、ご存じですか?

木村ミサ

いえ。生まれる前の曲なので、初めて聴きました。素敵な曲ですね。

ユウ

ラブソングが映し出すのって、「時代」というより「世代」なのかも。昭和のラブソングを若い子が聴いてもピンとこないかもしれないけど、ラブソングには「思い出を閉じ込める」役割があるんだと思う。だからそれぞれの世代に求められるラブソングがあるんじゃないかな。

君に会いに行くよ
君に会いに行くよ
愛してます 好きにしてよ
君に会いに行くよ

THE BOOM「星のラブレター」
1989年、アルバム『A PEACETIME BOOM』収録。スカのリズムの名ラブソング。

木村ミサ

それこそさっきの着メロの話じゃないですけど、この曲を聴いてたのはあの帰り道で、その頃はiPod classicだったなあとか。世代によって見ていた景色が違うんですよね。

ユウ

私自身は、バンドでやる音楽というのは自分と同世代の人が共感しやすいものを生み出しているような感覚があるんですけど、木村さんが今プロデュースされているアイドルグループは、お子さんから年配の方までファン層が幅広いですよね。いろんな層の人に響く曲作りって、すごく難しくないですか?

木村ミサ

全方位に響くようにというのは実はあまり考えていなくて。私がプロデュースするグループに関しては、あえて言うなら「メンバーに響く」ことを大事にしています。メンバーの女の子たちが違和感なく受け入れられる歌詞や曲の世界観になっているか?といつも考えています。

それも、“今の世代の子たちの思い出を曲に閉じ込める”ということに近いのかもしれません。KAWAII LAB.のグループがアイドルにしてはメンバーと同世代の女性ファンが多い理由も、きっとそこにあるかもしれないですね。

ミュージシャン・ユウ、アイドルプロデューサー・木村ミサ
左からユウさん、木村ミサさん。

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