——岡村さんのラブソングはどうやって生まれているのでしょうか。
岡村靖幸
作為的ではないですし、もしかしたらそうならないようにしているのかもしれない。九割九分、自分がしっくりくるかどうかに集中して作っているので、どう説明したらいいか難しいですね。まず楽曲を作って、次に歌詞を紙に書いていきます、でないとリアリティがないですから。
歌詞が一番大変で。色々な人のプロデュース関連で、誰かのために書くことも多いんですけど、相手のイメージや求めているものといったテーマが決まっている方が、スラスラと楽に書けるという傾向はあります。
——創作しやすい時間帯は?
岡村
夜中に作ることが習慣になっています。朝、昼は絶対に無理ですね。そういう気分にはならないので。
——特に思い入れが深い楽曲、もしくは大変だった楽曲はありますか?
岡村
楽勝だったという曲は一曲もないですし、すべてに思い入れはありますね。
——愛について書くことで、愛について理解は深まるものですか。
岡村
いや、ずっとわからないし、迷い込んでるみたいな感覚で。自分には理由はわからないですが、いろんな方がカバーしてくださった数曲は、何か共感してもらえているのかなとは思います。

うまくいかない愛がゆえに共感を呼ぶ濃い感情
——ご自身の楽曲以外で、歌詞に惹かれるラブソングは?
岡村
ユーミンさんの「A HAPPY NEW YEAR」は、ラブソングとして素晴らしいと思いますし、松本隆さんの一連の松田聖子さんとの楽曲も素晴らしいですよね。女性が書いているものでも男性にも響く曲はたくさんありますし、女性脳、男性脳は歌詞には関係ないんでしょうね。
最近のラブソングの歌詞をあまり知らないのでわからないけれど、昔は携帯どころか留守電もなかったので、人に対する思いや、会いたい気持ち、情熱みたいなものとか、恋愛感情も今より濃かった気がします。
今は携帯で誰とでもすぐ連絡が取れるし、AIで調べれば何でも答えが即時に出るので、一人で悶々と考えたり、相手の言葉を咀嚼(そしゃく)したりする時間は減っていると思うんですよね。恋愛だけじゃなく、人間の感情自体の濃度が薄まっている感覚があります。
——岡村さんの曲は感情の濃さを感じさせますが、その理由とは?
岡村
うまくいかない主人公の曲が多いからじゃないですか。恋愛が成就してハッピーだとか、結婚できて嬉しいとか、子供が生まれて休日の昼はスポーツクラブで、夕方は外で仲間とキャンプして充実してる、みたいなリア充の歌なんて、誰が聴きたいんですかね?
——自分の中にあるものを言葉で片づけようとせず、常に学びの途中という姿勢が、その濃度を維持する秘訣かもしれないですね。
岡村
そうかもしれない。ほかの人がどんなことを考えているのか知りたいし、いろんな人と対談して話を聞いたり、勉強したり、いろんな知識を得ようと思ったりはしています。好奇心はずっと強くありますね。
君が好きだよ
岡村靖幸「ラブ タンバリン」
心に住んでる修学旅行が育つんだ
がんばってみるよ
岡村靖幸「カルアミルク」
優勝できなかったスポーツマンみたいに
ちっちゃな根性身につけたい
ねえ 三週間 ハネムーンのふりをして旅に出よう
岡村靖幸「だいすき」
もう 劣等感ぶっとんじゃうぐらいに熱いくちづけ