土佐和紙を使った手仕事の面
高知県東部に伝わる郷土玩具「土佐面」は、土佐和紙を重ねて作る張り子の面です。
かつては小正月の頃、子供たちがこれをかぶり、「カイツリ、カイツリ」という掛け声を上げながら近所の家々を回り、餅やお菓子をもらう行事に使われていました。面をまとった子供たちは福を運ぶ存在とされ、地域に賑わいをもたらしたそうです。

しかし、時代の流れとともにその風習は姿を消し、土佐面の製作も一時途絶えてしまいました。近年になって、地域の有志や作家による復刻の試みが始まり、伝統技法の再現とともに新たな命が吹き込まれています。
素朴でありながらどこかユーモラスな表情は、狐や天狗、土佐犬など土地の文化や風土を映し出しています。軽くて丈夫な張り子の質感と、手仕事ならではの温かみが相まって、一つ一つに生命感が宿っています。
