Cheval（小伝馬町）
腕利きシェフによる、地に足のついた料理を
小伝馬町駅から程近いオフィス街に誕生した、小さなカウンターフレンチ。オーナーシェフの、小泉敦子さんは圧倒的な経歴の持ち主だ。
三國清三シェフが率いる〈ミクニ・マルノウチ〉を経て、フランス・ボルドーの2ツ星レストランへ。ここで世界的シェフ、ティエリー・マルクス氏に認められ、〈マンダリン オリエンタル パリ〉のメインダイニングのスーシェフに。そして2016年に銀座にオープンした〈THIERRY MARX〉では、総料理長を務めた。
オマール海老とキノコのフリカッセ
フランスのヒラタケ「プルロット」や新潟のマイタケ、ポルチーニなどを炒め、出てきた水分にフォンドボー、エシャロット、バター、エビのビスクにまとわせた重層的な味わいのソースを、軽く火を入れておいたオマールエビと合わせて仕上げるリッチな一品。7,000円（いずれも価格は2名分、写真は1名分）。
炙りカマスのマリネ 茄子と梨
塩をして1晩置き、皮目を炙（あぶ）ったカマスの下には、果肉がしっかりしたイタリア種のナス「ローザビアンカ」が。上には、白バルサミコビネガーのドレッシングでマリネした和梨とマイクロハーブをあしらって。3,600円。
牛ホホ肉 赤ワイン煮込み
艶やかでコクのあるソースをまとった牛ホホ肉には、肉の旨味が凝縮されている。下には滑らかなジャガイモのピューレを敷き、付け合わせには栃木・那須高原〈こたろうファーム〉から届くさまざまな野菜を。4,600円。
多数のスタッフを率いていたかつての厨房とは対照的に、小泉さんがワンオペで営業。また「その日食べたいものを自由に選ぶ楽しさを味わってもらいたい」とメニューはアラカルト。店の形態はこれまでとはがらっと変わったが、師匠譲りの「お皿の主役となる食材が明快な“引き算”の料理」は健在だ。
フレンチの確かな骨格を感じられる料理と、きっぷの良い小泉さんの人柄に心ほどける店だ。
ワンオペながら、終始落ち着いた様子で手際の良さを見せる小泉さん。 
抑えた色調でまとめられた、シンプルな空間。
