京都ならではの憩いの場へ。恵みの泉、銭湯に浸る

歴史ある銭湯で静かな風情に浸るもよし。生まれ変わった老舗でととのうもよし。山々に囲まれ、水が豊富な京都ならではの憩いの場で、ゆとり時間を過ごしたい。

photo: Yosuke Tanaka / text: Yusuke Nakamura

明司湯(鞍馬口)

サウナを軸に老舗を大胆に改装。ローカルの銭湯を未来に残す

1955年頃に創業し、紫野の町に親しまれながらも、2021年に閉業した〈明治湯〉。25年8月に〈明司湯〉としてリスタート。銭湯は「交流の場としても絶対になくしてはいけない」とオーナー坂口祐司さん。テーマは「銭湯2.0」。

昭和期のタイルなど名残がありつつも、男湯と女湯の壁を取り払うなど大胆に改装。サウナがメインの男性専用銭湯で、レディースデイは月2回設けている。全長7mのサウナ室は座る位置で体感温度を調整できるため、初心者でも安心。

2階の休憩処では湯上がりに生ビールでくつろぐことも。「銭湯とスーパー銭湯の間。30年後にも残る銭湯を」と坂口さん。ローカル銭湯を未来につなぐ新たな継業の形かもしれない。

銀座湯(神宮丸太町)

京大生が湯船で議論を交わす、路地の中の通称メガネ銭湯

東山丸太町を北上した路地にある大正期に建てられた銭湯。閉業後6年間のブランクを経て、2020年に復活。継いだのは前オーナーの孫、中西真浩さん。小学生の頃から浴室の掃除を手伝い、愛着があったとか。いわく「近所の人たちが喜んでくれるかな、と」。

前職はメガネ店に勤務、ということで継業後は暖簾(のれん)のデザインをそのモチーフに一新。番台ではメガネ洗浄という珍しいサービスも。

浴室はコンパクトだが、湯船とカランの間のスペースがしっかり取られているため、大人数でも窮屈さは感じない。京都大学にも近い〈銀座湯〉。時折見かける、学生たちが深夜の湯船でアカデミックな議論を交わす光景は今も昔もきっと変わらないはず。

日の出湯(東寺)

昭和期の静かな風情あり。東寺近くの歴史的木造銭湯

東寺近くの細い路地に入ると出現する巨大な木造建築。〈日の出湯〉が建てられたのは1928年。市内最大級の広さを誇る脱衣所は格天井、凹凸のある昭和初期のダイヤガラスが入る木製ロッカー、そして貫(かん)と匁(もんめ)表記の体重計、と「古き良き」がパッケージされた貴重な空間。その風格から映画のロケに使用されたこともある。

浴室にはサウナはなし、というのは、むしろ老舗銭湯ファンにもポイントが高いのでは。店主の村木修さんに聞けば、浴室をポツンと照らす丸いライトも昭和60年代から変わらないそうだ。

京都駅のそばに位置する、とはいえ雑踏とは無縁の静けさあり。戦前から残る、唯一無二の歴史的建造物の中でしみじみと湯船に浸かる、至福の体験を。

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