京都の「受け継がれた余白」。居酒屋/アートスペース〈TAKI/焚〉

素晴らしい空間やサービスだって、提供する側にも受ける側にも気持ちにゆとりがないと楽しめない。私たちにほかでは得難い体験を与えてくれる名店の主たちはなおのことだろう。四条大宮にある居酒屋でもありアートスペースでもある〈TAKI/焚〉オーナーに聞いた、店のあり方と、“京都の余白”。

photo: Yosuke Tanaka / text: Yusuke Nakamura

路地の巨大な秘密基地。四条大宮のクロスオーバーな自由空間

「お店だけど、お店らしくしたくなかった。だから一言で説明するのが大変なんですけどね。なんとなく“みんなの実家”というような言い方をしています」。そう話すのはオーナーの川良謙太さん。

〈TAKI/焚〉は居酒屋でもあり、京都の新進気鋭の作家を中心としたアートスペースでもあり、ZINEや作家の書籍なども販売、ライブイベントも開催する、クロスオーバーな自由空間。染色工場が多くあった四条大宮で、その跡地を活用した半屋外のスペースだ。

まるで路地裏に潜む巨大秘密基地。初めて来ると戸惑うかもしれない。というのも、空間はリノベーションしすぎず、柱は剥き出しで、店奥には資材が積まれたまま。この常時改装中の状態には意味がある。それは、言うなれば伸び代。未知なる可能性。

「カチッと決めずに、ゆとりを持たせて。来る方の様子を見ながら空間を変化させていきたいんです」(川良さん)。

一人静かに文庫本を読む女性客もいれば、近所の銭湯帰りのおじさんたちも集う。「誰でも気軽に集うことができる場なんです。アーティストとお客さんがコミュニケーションできるし、作り置きのお惣菜は食堂のおかずコーナーみたいだし、酒屋の角打ちっぽさもある。これからも、より間口を広げていきたいですね」(川良さん)

余白のある名店〈TAKI/焚〉の店主が語る、京都の余白

一人で行っても許される店。ゆとりは場を共存する空気感から

店主のセンスや人間味が出ている空間が好きだし、参考にしたい。老舗の居酒屋に多いんですけど。それと、一人で行っても許される店が好きですね。〈山の家〉、あんな完璧な店はない。みんなで蛍光灯の白い光の下で飲んで、その場に共存する空気感に、ゆとりを感じます。共存というところでは映画館も好き。

京都〈山の家〉やきめし・おつまみチャーシュー
のんびり昼酒も許される〈山の家〉。河原町で愛され続ける大衆食堂
昼は定食、夜は居酒屋に。創業70年を超え、河原町エリアで愛され続ける食堂。家族経営、現在の店長は4代目となる山下祈さん。丼物、麺類、カレーなどとメニューは豊富で昼からおつまみチャーシュー700円などをアテに飲む方も。やきめし750円、ぶため(焼き豚のせ目玉焼き)600円。全席喫煙可。

〈出町座〉でレイトショーを観て、映画の内容を思い出しながら、暗い中、最終のバスで帰る。それは自分のゆとりの時間。商店街の一角にあるのも良い。

京都〈出町座〉外観
小さなシアターでこその映画体験。出町柳の商店街にある〈出町座〉
出町柳駅近くの出町桝形商店街内の映画館、書店〈CAVA BOOKS〉、カフェ〈出町座のソコ〉が入る文化施設。2017年末に開館。シアターは地下1階の42席と2階の48席の2つ。アフタートークをはじめ独自のイベントも積極的に開催。券売機がプリントされた〈出町座〉オリジナルTシャツなども販売。映画観賞料1,800円。

京都の「余白のある店、余白のある人」。円町〈源湯〉

京都の「受け継がれた余白」。御幸町三条〈アスタルテ書茶房〉

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