宮沢氷魚✕岸井ゆきのが延べ竿ハゼ釣りに挑戦。果たして本日の釣果は?

屋形船から竿を垂らすハゼ釣りは、東京湾の秋の風物詩。江戸時代から続く船屋・深川冨士見の桟橋に、宮沢氷魚さんと岸井ゆきのさんの姿が。共演した映画の打ち上げを兼ねて、ハゼ釣りにやってきたのだ。実はそれぞれ釣り歴の長い2人、果たして本日の釣果は?

photo: Jun Nakagawa / styling: Hiromi Nakamoto / hair&make: Eito Furukubo(Miyazawa), Aya Murakami(Kishii) / cooperation: Fukagawa Fujimi / text: Hideki Inoue

東京湾奥・豊洲運河、延べ竿ハゼ釣りに挑戦。隣にいながら、別々の釣りに興じる

宮沢氷魚

久しぶり!暑いねー。元気だった?

岸井ゆきの

元気だよー!今日は誘ってくれてありがとう。

宮沢

岸井さんは屋形船に乗るのは初めて?

岸井

随分前に、作品の打ち上げで乗ったことがあって。でも、その時は釣りはしなかったな。氷魚くんは?

宮沢

子供の頃、家族で乗って以来かな。その時も釣りはしたけど、船の中が蒸したように暑かった記憶が(笑)。でも、今日は船内が涼しくて快適。釣りに集中できそう。

岸井

いっぱい釣りたいねー。屋形船も風情があって素敵。

宮沢

本当だね。いつからやってるんだろう。

船頭

私で6代目で、江戸末期に仕事を始めたと聞いています。時代劇なんかで見る「船頭さん、向こう岸に渡してくれ!」という、あれが最初。今では、釣り船と屋形船を出してます。

岸井

長い歴史があるんですね。今日はどのあたりまで船を出していただけるんですか?

船頭

門前仲町から出て、豊洲運河でじっくり釣りをしてみましょう。それでは出発しますよ。

岸井

氷魚くんが釣りを始めたきっかけはなんだったの?

宮沢

うちでは釣りは家族行事なんだよね。父が渓流のフライフィッシングが好きで、父と母、僕と弟で行くことが多かった。

岸井

へえ、かっこいいねえ。釣りの思い出とかある?

宮沢

思い出もあるし、僕は川の釣りで大事なことを教わったな。自然に対する基本的な意識というか。川って見た目は緩やかでも、底の流れは速かったりするよね。

岸井

ああ、足をすくわれそうになったり……。

宮沢

そう。子供の頃は、絶対に川の中に入るなと言われてた。入っていいと言われたのは中高生になってからかな。だけど、子供としてはやっぱり入りたくなるじゃない。

岸井

ダメと言われたらね。

宮沢

でも入ったらすぐに怒鳴り声が聞こえてきた(笑)。

岸井

見てくれてたんだね。

宮沢

うん、本当に危険だからね。釣り歴の長い父でも、川に入る時はしっかりと足場を確認してた。あの頃、釣りを通じて教えられたことは、今でも自分の中でずっと残ってるんだよね。岸井さんは?

岸井

私も父の影響。子供の頃から父に連れられて一緒に海釣りをしてたんだよね。だから釣りといえば、私は海。面白いね、同じ釣りなのに氷魚くんと私とで全然違う。川も海も楽しみ方はそれぞれ。そういえば、私も一度怖いことがあったな……。

宮沢

海で?なになに?

岸井

10年くらい前、父と手漕ぎボートで沖に出たの。すごく釣れて2人で夢中になってたら、風と波が高くなってきて。早く岸に戻ろうと一生懸命漕ぐんだけど、なかなか進まなかった。辿り着いた時は本当にホッとした……。怖かったなあ。それ以来、なんとなくボートには乗ってない。

宮沢

自然相手だと、そういうことがあるよね。わかる。

岸井

でも楽しかったし、またボートの釣りもやってみたいな。

宮沢

さあ、ハゼ釣りポイントに到着。

船頭

今回は、延べ竿を使ったハゼの“ミャク釣り”です。竹竿にオモリと針を付けた、至ってシンプルなものです。針にアオイソメを付けて、海の底まで落とします。この季節、ハゼは岸近くにいるんですよ。

宮沢

こんな浅いところにいるんだ。魚影は見えないな。

船頭

ハゼは上から落ちてくるエサを食べるので、エサを沈め、竿を少し上げてオモリでトントンと底を叩き魚を誘ってください。そうして魚が食べる間を与えると……はい、釣れましたよ。

岸井

え!すごい、船頭さんあっという間に釣った!

ハゼ
ハゼは8月上旬、浅場にいるのだそう。

船頭

ハゼは、今日は特別に唐揚げにしますから、たくさん釣ってくださいね。潮の状態は厳しめですけど、頑張って。

宮沢

よし、たくさん釣るぞ。岸井さん、エサ付けは大丈夫?

岸井

大丈夫!いつも自分でやってるから。

宮沢

あれ、なんかプルプルするな。

岸井

え、もう来てる⁉

宮沢

うーん、掛かってない。ハゼ釣りって簡単だと思ってたけど、なかなか難しい。特に、アタリからの合わせが。そもそも魚を針に掛けるって、本当に繊細な作業だよね。僕はいつも川では基本的にリリースするけど、タイミングが悪いと魚に針を呑み込ませてしまうから、すごく慎重になる。

岸井

そっか、魚を痛めちゃうしね。

宮沢

ミスをすると、申し訳ない気持ちでいっぱいで。でもある時から魚が口を使った瞬間に合わせられるようになってね。

岸井

ええ、すごい!それは憧れる。

宮沢

なんだろう、釣り人として一つ上のレベルに行けたような気がした……って、あれ?岸井さんの竿、曲がってない?

岸井

あれ?ほんとだ、釣れてる(笑)。

宮沢

あ、あれ、ちょっと待って。僕も釣れてた!

岸井

もしかして、これが時合いってやつ?小さい魚でもやっぱりうれしいな!けど氷魚くんは色々工夫してたね。移動して、いろんなところに竿を垂らして。

宮沢

フライは移動することが多いんだ。ここの魚には見切られた、次の場所に移動しようって。

岸井

一方、船釣りはポイントまで移動してくれるから、勝手に船が私を運んでくれる。

宮沢

ああ、それで同じところから投げてたんだ。

岸井

ここでも私たち、違う釣りをしてたね。

宮沢

面白いね。普段僕がやってるフライフィッシングは諦めの釣りというか。「これだけ釣ったら次に行こう」って意識があるけど、海や大きな川の可能性はすごいと思った。こんなにたくさん釣らせてくれるんだって。お、そうこうしているうちに、ハゼの唐揚げができた。

岸井

8、9、10匹……こうして見ると、たくさん釣れたんだね。ハゼって、身もしっかりしてるし、おいしいんだ。

宮沢

一つずつ、ありがたくいただこう。気をつけないと、あっという間に食べ終わっちゃうから。

ハゼの唐揚げ
塩が効いた唐揚げ。軽く鱗を取り、頭とはらわたを除いて下処理は終わり。市場になかなか出回らないのでハゼ料理は釣り人の特権。

岸井

ハゼ釣りってさ、今日が初めてだったけど、今までの釣りと全然違って新鮮で楽しかったな。でも、思ってたより難しかった。

宮沢

竿は竹製だったし、仕掛けもシンプル。かなり原始的な釣りのスタイルだったしね。だからこそ、集中力も必要だし奥深かった。そろそろ、またお父さんと釣りに行きたくなった?(笑)

岸井

うん!予定さえ合えば行きますよ。

宮沢

今日もお父さんに来てもらえばよかったね。

岸井

え、連れてきてもよかったの⁉

宮沢

もちろん。一番釣ってくれそうだしね。

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