『第75回NHK紅白歌合戦』完全プレイバック。制作統括・大塚信広さんと振り返る

教えてくれた人：大塚信広（『第75回NHK紅白歌合戦』制作統括）

制作統括・大塚さんと振り返る2024年末の『紅白』の演出秘話

＊出演者名の冒頭の数字は紅白への通算出場回数です。

「あなたへの歌」がこの年の紅白のテーマでした。2024年は1月1日に能登半島地震があり、一方ではオリンピックがあり、また放送100年に向けて届けたいメッセージがあるという一年。そんな中で全員に共通する大きなテーマよりも、お一人お一人が抱く思いや感情それぞれに届けたいと思いこのテーマに。それを表現するために「わたしからあなたへ」という強いフレーズを持ったこの曲を。近年では少し珍しく、しっかりと全員で歌を届けるオープニングになりました。

ステージに多くの出演者が揃っている時間帯です。みんなで一緒に踊ったり、かけ声を合わせられることを重視しました。

その年のヒット曲を届けることも紅白の重要な役割。一年を通じて、音楽ソフトから配信、YouTube、ビルボードなど、あらゆるチャートを追いかけています。

放送100年企画の第1弾。お子さんが起きている時間に。どの世代にも親しまれた曲がある教育テレビの力を感じました。

演出の幅の広さも紅白の良さの一つ。ジャンルを超えた共演や、視聴者参加型のクイズなど。中でもファンの方の家から中継した純烈は、「あなたへの歌」というテーマにも沿った演出になりました。

若い世代に人気のあるアーティストも、例えば親御さんからお子さんへ「今紅白にあの人出てるよ」というコミュニケーションのきっかけになれば。それも紅白の役割だと感じています。

2023年に始まったドミノ企画。もちろん歌をしっかり聴かせたいので、カット割りは工夫しています。

『名探偵コナン』の映画主題歌でしたね。会場には審査員として作者の青山剛昌先生も。いい演出になりました。

1曲で放送100年というテーマを背負える人はなかなかいない。歴史的な映像に入り込んでいくという演出も快く受けてくださいました。前半の締めくくりです。

ニュースを挟んで後半へ。2024年、老若男女が口ずさんだこの曲でスタートです。

ご本人の曲以外での出演ですが、快く受けてくださることに感謝しています。

30周年の節目には、やはりこの曲を。

能登半島地震の際に避難所に使われた体育館からの中継。行っていいのかという議論はもちろんありましたが、NHKの現地局とも相談を重ねて、この形なら受け入れてもらえるのではと実施しました。

この曲を届けたいというご本人の意図もあっての選曲でした。

メッセージ性の強いボーカリストの方々の次にダンスポップのアーティストへという流れがうまくハマったと思います。

1回目の紅白でデビューシングルをぜひと思い、あのステージが実現しました。

盛り上がりましたね。NHKホールに登場することは、スタッフにも直前まで伏せられていた。それほどサプライズでした。

ニューヨークからワンカメで生中継。風さんが海外で活動していくうえで大切にしているニューヨークから。

中継から再びホールに戻ってきたここで、恒例のけん玉企画を持ってきました。

あいみょんさんは、続くお2人とのフォークというつながりも意識しながら。南さんとイルカさんは、放送100年に向けて、ラジオから生まれたヒット曲というテーマのスペシャルコラボとなりました。

西田敏行さんの追悼企画。司会者、歌手、審査員、応援団長と紅白も大変お世話になった西田さんに思いを込めて。

大ヒット曲メドレーから氷川さんの復活、50周年のTHE ALFEE、今回のテーマを象徴するような「for you…」とラストにかけてますます盛り上がっていきます。

特別ドラマに米津さんが出演。楽曲の力と『虎に翼』というドラマが放つ強いメッセージが相まって、紅白でも大きなインパクトを残せたと思います。

一年を振り返り、次の一年への希望を届けることが紅白の使命です。最後は改めて、そんな期待を託すことができる方々に出演していただきました。