教えてくれた人:ドンジュン・リム/임동준(クリエイティブディレクター)
実用性の中に美しさを見出す未来主義的な服作り
ソウルを拠点にする〈ポスト アーカイブ ファクション(パフ)〉は、2018年設立ながらLVMHファッションプライズのノミネートや〈オン〉との協業など、驚くべきスピードで成長を遂げている。この活躍についてクリエイティブディレクターのドンジュン・リムさんは語る。
「私はトレンドに疎いし、華やかなファッションシーンには興味がない。学生時代に学んだ工業デザインを何かビジネスで生かせないかと考えたときに、偶然身近にあったのが服だっただけなんです」
とはいえ、ブランドを運営するには相当の体力と気力が必要となるはずだ。ドンジュンさんにとって、何が自身を突き動かすのだろう。
「“未来に残るアーカイブを作りたい”という気持ちですかね。アーカイブという言葉はもともとグラフィックデザインの領域で用いられてきた言葉だと思うのですが、この数年でファッション業界でもポピュラーになりました。魅力的なものは年代を超えても美しいという概念です。〈ポスト アーカイブ ファクション(パフ)〉も数十年後、そのように言ってもらえたら嬉しいですね」

“用の美”を追求し生まれたフューチャリスティックな服
〈ポスト アーカイブ ファクション(パフ)〉のデザインは、機能性が起源となっているという。
「最も重要視しているのは、実用的であること。気の利いた部位にポケットがあったり、熱を逃すベンチレーションがあったり。着心地がよくて格好いい服を作るのって、難しいんです。なので、永遠の課題としてこれからも追求したいと考えています。実用的な服の例としてユニフォームが挙げられると思いますが、私は規則に則(のっと)るユニフォームではなく、着る人を“解放する”ユニフォームが作りたいんです」
最後に、ドンジュンさんが考える韓国ファッションシーンの現在について尋ねてみた。
「最近はアートや建築など、異なる領域で活動していたデザイナーによるブランドが増えているように感じます。あとは、オンライン展開のみのブランドがオフライン化する流れもある。私たちも22年に旗艦店を開きました。ラックの位置を大胆に変えられる可動式の什器(じゅうき)を取り入れるなど、空間作りでも機能性と美しさを追求しています。ブランドの個性をリアルな場に落とし込むことは、今の自分にとって魅力的に感じる表現方法の一つなんです」

ドンジュン・リムが通うアーカイブショップ2選
cemetery park
画家が一人で営む、アノニマスな空間
鉛筆画家のキム・サンユンさんが経営する〈セメテリーパーク〉の店名は“墓地”という意味。“誰かの手を離れた服を再び蘇らせること”をテーマに、無地のカットソーといったあえて普遍的なアイテムを主に取り扱う。〈コム デ ギャルソン〉や〈イッセイミヤケ〉など日本ブランドが中心だが、韓国人オーナーの視点で選ばれた品々は、新鮮な表情を覗かせる。元はカーセンターだったシックな空間が、アイテムの味わい深さを強く演出。
STILL NICE
業界人のセカンドハンドが勢揃い
歌手やスタイリストなどクリエイターから委託された古着のみを扱う、2024年オープンのセカンドハンドストア〈スティル ナイス〉。コンディションのよいアイテムが多く、中には日本未展開のレアピースもあるので、隅までじっくりチェックしたい。「韓国ブランド」「日本ブランド」「ラグジュアリー」など丁寧にセグメント分けされているため、お目当てのジャンルのアイテムを探しやすい。ギャラリーのような空間を意識した内装にも注目。





