無言のまなざしから伝わるもの。写真家・石田真澄に聞く、写真の“伝える力”

過ぎ去る瞬間、ひとときの輝き、忘れがたい記憶。自身の視点で切り取った一枚が、見る人に届けられることについて、写真家・石田真澄が考える。

photo: Masumi Ishida / text: Fumika Ogura

写真はどこまでも自由。切り取られた一瞬も、その前後の時間も、見る人が自由に想像できる余白がある。見方を限定する言葉や音がないからこそ、伝えられるものがあると思います。

例えばこの、ショートカットの女の子が写った一枚。もし「出会い」や「別れ」というタイトルがつけられたら、見る人にとっては自然と、そういう光景に思えてくるはずです。「大事な人に初めて会った瞬間なのかな」とか、「離れ離れになる最後の場面なのかな」とか。それくらい一枚の写真は、どんなものにもなれるんですよね。

フォトグラファー・石田真澄

ただ、私はレンズの向こう側にある、そのときの空気までを写せたらいいと思っています。そのためには、お互いが自然体であることが大切。

対象者をよく見て、心地よい距離感を掴(つか)んでいく。この写真も、友人といるときに撮影したものです。光や風、彼女との会話など、そのひとときが気持ちのいいものでした。被写体でなく、目に見えない瞬間も含めて残せたら。常にそう願って撮っています。

伝えたいことは何か。明確に決め込んで写真を撮ることはほとんどありません。でも、みんなが撮影したものを見て、自分の思い出や感覚を重ね合わせることがある。私が写した日常の瞬間が、誰かの記憶や体験に結びつく。そこには写真だからこそ届けられる、豊かさがあるのかもしれません。

石田真澄が被写体に向き合うときに大切にしていること

・場の空気も含めて被写体を写すよう心がける。
・相手を観察し心地よい距離感を見つける。

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