「最大の武器は“笑い”」〈劇団かもめんたる〉主宰・岩崎う大の物語の伝え方

演者と観客が空間を共にしリアルタイムで物語を表現する演劇は、生のコミュニケーションを内包するカルチャーの筆頭。脚本、舞台美術、音響、照明などさまざまな要素を駆使して作品の世界観を伝える劇作家・演出家はどんなことを大切にしているのだろう。〈劇団かもめんたる〉主宰・岩崎う大さんに聞いた。

text&edit: Emi Fukushima

物語を積み上げていくため、“笑い”の要素を武器にする

キングオブコントの優勝歴を持ち、芸人として高い評価を得てきた〈かもめんたる〉の岩崎う大さん。彼が劇団を結成したのは2015年。差別や欲望、自意識といった人間が潜在的に持つグロテスクな側面を、唯一無二の喜劇に落とし込んでいる。

「芸人としての〈かもめんたる〉は“わかりづらい”とされるし、それがある意味個性にもなっています。でも劇団としては、わかりやすい存在でありたいと思っている。というのも演劇というフィールドでは極端に難解なものも許容される。でもわからないことすらわからない状況は、僕自身、一観客としてストレスを感じるんです。エンタメである以上は、物語を伝えることに慎重でありたいなと思っています」

人間とアンドロイドの対立、AIと悟り……題材は時に壮大な境地に及ぶが、やはり最大の武器は“笑い”。軽妙なもの、シニカルなもの、バカバカしい下ネタまで、随所に多彩な笑いが織り込まれる。

「さまざまな感情を描きながらも、笑いの要素が入ると物語がよりリアルになる気がしています。お葬式の最中に笑える瞬間が訪れることもあるし、状況が悲惨すぎてかえって笑えてくることもある。光だけでなく闇の中にも笑いは存在するものなので、場面や題材を問わず、適度な笑いが物語をより観客を惹きつけるものにすると思います」

しかし半面、笑いを盛り込むことのデメリットもある。

「現実でもずっとふざけているやつの話って信用できないですよね。演劇でも笑いのせいで物語が積み上がらないことが往々にしてある。だからポイントを絞ることには気をつけています。物語を共に旅することで登場人物に親近感が湧き、次の笑いにつながる。相乗効果で作品を表したいですね」

「自分の体験を“体感”として伝えたい」。〈ハイバイ〉主宰・岩井秀人の物語の伝え方

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