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わらべ歌の専門家はどう見た!? 死後くんの絵本『ぽんちうた』

わらべ歌にインスパイアされて死後くんが作った絵本『ぽんちうた』。これを専門家はどう見るのだろう。わらべ歌の楽しさや魅力を伝える活動を行う〈わらべうたあそび研究会(WAK)〉の代表・平沼美春さんに絵本を読んでもらうことに。

Text&Edit: Asuka Ochi

まずは、わらべ歌の定義を聞いた。

「研究者によってもさまざまですが、子どもの遊びや生活のなかで自然に生まれ、かたちを変えながら口伝えに伝わった歌をわらべ歌と言っています。みなさん日が暮れる頃、空を見上げて『一番星み~つけた』と歌いませんでしたか?

『あ~した天気にな~あれ』と歌って靴を投げて天気を占ったりした思い出は?もしくは、『はないちもんめ』は子どもの時に遊んでいたのではないでしょうか。

これらは、みんなわらべ歌です。いつ誰がつくったのかわからないけれど、いつのまにか周りが歌い、どういうことか遠くに伝わり、その土地の風土を盛り込みながら変化して、子どもたちに楽しく歌われ遊ばれた遊びうたです」

江戸時代に遊ばれていたわらべ歌が、そうしていまでも伝えられている。最近の子どもたちも、変わらずわらべ歌で遊んでいるのだろうか。

「『あがり目さがり目』や『通りゃんせ』などは、江戸時代に作られたと考えられていますが、あまり形を変えずに保育園などでも遊び継がれでいます。かと思えば、CMソングでそうした遊びをつくったり、昔に比べたら数は少ないですが、いまも子どもたちは元気にわらべ歌で遊んでいます。

最近『軍艦じゃんけん』がはやっていると聞いたときはびっくりしました。なぜ、『軍艦(グー)沈没(チョキ)ハワイ(パー)』なのか、子どもたちは意味がわかって歌っているのではないと思いますが。わらべ歌には戦争など、その時代の背景も色濃く取り込まれています」

わらべ歌は道具がなくても遊べるし、ひとりでも、ふたりでも数人でも、何人でも遊べるなどの魅力もある。また、最近では子どもに、特に赤ちゃんにいい影響もあることがわかってきている。

「メロディーや言葉が複雑ではないわらべ歌は、赤ちゃんや幼児に受け取りやすく反応を返しやすい、ということが脳科学的にもわかっています。また、赤ちゃんが声を出したり喜んでくれることで、母親や父親の子どもへの愛情が深くなり、大変な育児もがんばろうという気持ちにしてくれます」

では、死後くんの『ぽんちうた』は……。

「これは、わらべ歌とは言えませんが、『いろはに金平糖、金平糖は甘い、甘いはお砂糖』のような言葉のつなぎ方、『いちじく にんじん サンマに しいたけ』というような数え歌の要素もあって、わらべ歌っぽさ、みたいなものは感じますね。

面白いフレーズがたくさんあるので、好きなフレーズだけを繰り返して節をつけてふざけて読むのも楽しいし、しり取り遊びみたいな言葉を楽しんでもいいし、絵を見てなぞなぞをしてもいい。読者の発想で楽しめる自由な絵本かなと思います。子どもがこの歌でまりをついたり、お手玉をしたりして遊んだら、現代の新しいわらべ歌の誕生ですね」

ぼんちうた 死後くん
まりつき歌のように、自由な節回しで歌って遊べる絵本を目指している。

 「もしもしカメよ」の代わりに本のフレーズでけん玉をしたり、絵だけを見て突っ込んだり、子どもたちと一緒に独自の遊び方を発見する楽しみもある。

「大人って子どもと違って、すぐにこじつけるというか、わらべ歌には口伝えされてまったく意味がわからないのもあって、そこがおもしろいのに、つい意味を考えちゃう。でも『ぽんちうた』は、こういう何でもアリの世界で、作者の伝えたい意図などを感じないところがいい。死後くんの子ども心に大人もくすぐられちゃいますね!」

YouTubeには遊び方を紹介したプロモーション動画も。