アリ植物〈Ant Plant〉とは
自らの植物体の内部をアリの棲み家として貸し出す代わりに、その排泄物を栄養源にして生長しているアリ植物〈Ant Plant〉。東南アジアやオセアニアを中心に分布する。茎を大きく太らせてアリを棲まわせるミルメコディアやヒドノフィツム、シダ植物のレカノプテリスなどが代表的。熱帯雨林の樹上に着生しており、高湿度で風通しの良い環境を好む。
ヒドノフィツム フィリピネンセ
フィリピン固有種とされるアリノスダマ。塊茎はなめらかで葉は肉厚。モセレヤナムに似た部分が多く、統合される可能性もあるらしい。アリノスダマ全体にいえるが、特徴が連続的で分類が難しい。
レカノプテリス ロマリオイデス
“ミルメコプテリス”とも呼ばれる根茎に鱗片があるタイプのアリノスシダ。根茎は細かく分かれ、多くのアリの部屋を作る。古くなった根茎は黒くなり、鱗片が剥がれ、爪のように見える。
レカノプテリス カーティシー
インドネシアに広く分布しているアリノスシダ。葉や根茎に付いたワックスが特徴で青白く美しい。フィリピン原産のデパリオイデスと同種とするかは学者の間で意見が分かれる。この個体は葉に芸が出ている。
ミルメコディア エリナセア
ニューギニア島産の密に生えたトゲとウェービーな葉が特徴のアリノスダマ。花の先端がわずかに青い。アリノスダマはニューギニア島を中心に分布し、中心地ではこのようなユニークな種が数多く分布している。
ミルメコディア ツベローサ
マレーシア産の塊茎が細めのタイプ。ツべローサと一口に言っても特徴が様々で、産地別で集めると非常に面白い。産地名でいうと写真の株は'armata' となるが、この産地だけでも様々な特徴を持つものがある。