東洋の私写真は刃の上を歩いているかのような刹那、西洋の私写真は燃やしても燃やしても尽きない炎。いずれも内臓をさらけ出すような作業に変わりはないのだが。
Ed van der Elsken(エド・ファン・デル・エルスケン)
虚実皮膜を旅したオランダの「私写真家」。
ストリート、旅を生涯のテーマにする/光を当てたように人物だけ明るい覆い焼きが印象的/『セーヌ左岸の恋』では写真をもとに物語を創作/ローライを手にしたセルフポートレートが有名/『The Family ofMan』展参加/ドキュメンタリー映像も制作/最後のビデオ作品『Bye』は末期ガンで死にゆく自身に題材を求めた「私映像」。
Wolfgang Tillmans(ヴォルフガング・ティルマンス)
オリジナルなリアリティと大胆自在なカメラワーク。
光への繊細な感受性/ビッグミニ、T3など35ミリカメラを愛用/伸びやかなスナップショットと、緻密なインスタレーション/戦争や差別、LGBTなど社会的なテーマも織り込む/10代の頃、近所にキヤノンのコピー機がやってきたことがZINE作りのきっかけ/美術館での作品設置のために数週間前から現地に滞在する。
Ren Hang(レン・ハン)
表現の自由を求めて奇抜なヌード表現に挑んだ。
ドキッとさせるショッキングなポーズ/表現の規制をものともしないヌード/都市や自然など屋外で撮影/モデルの無表情が漂わせるユーモア/裸体とモノを組み合わせるなどオブジェとして表現/フィルムコンパクトカメラ/被写体をくっきりさせるフラッシュ/Gucciのビジュアルを担当したことも/29歳の若さで自ら命を絶った。