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現代写真の礎を築いた名写真家。オリジナルなリアリティに挑む3名

写真家・大森克己、写真評論家・タカザワケンジ、そしてアート系ブックショップ、NADiffの書籍バイヤー・館野帆乃花。水先案内人としてはこれ以上望み得ない3人が、現代写真の礎を築いた名写真家21名をセレクト。彼らの代表的写真集とともに紹介。ホンモノの写真は時空を超えて、観る者の心を捉えて離さないのです。

Photo: Ayumi Yamamoto(portraits), Kaori Ouchi(books) / Illustration: Ken Hamaguchi / Text: Kenji Takazawa / Edit: Kaz Yuzawa

東洋の私写真は刃の上を歩いているかのような刹那、西洋の私写真は燃やしても燃やしても尽きない炎。いずれも内臓をさらけ出すような作業に変わりはないのだが。

Ed van der Elsken(エド・ファン・デル・エルスケン)

虚実皮膜を旅したオランダの「私写真家」。

ストリート、旅を生涯のテーマにする/光を当てたように人物だけ明るい覆い焼きが印象的/『セーヌ左岸の恋』では写真をもとに物語を創作/ローライを手にしたセルフポートレートが有名/『The Family ofMan』展参加/ドキュメンタリー映像も制作/最後のビデオ作品『Bye』は末期ガンで死にゆく自身に題材を求めた「私映像」。

Wolfgang Tillmans(ヴォルフガング・ティルマンス)

オリジナルなリアリティと大胆自在なカメラワーク。

光への繊細な感受性/ビッグミニ、T3など35ミリカメラを愛用/伸びやかなスナップショットと、緻密なインスタレーション/戦争や差別、LGBTなど社会的なテーマも織り込む/10代の頃、近所にキヤノンのコピー機がやってきたことがZINE作りのきっかけ/美術館での作品設置のために数週間前から現地に滞在する。

Ren Hang(レン・ハン)

表現の自由を求めて奇抜なヌード表現に挑んだ。

ドキッとさせるショッキングなポーズ/表現の規制をものともしないヌード/都市や自然など屋外で撮影/モデルの無表情が漂わせるユーモア/裸体とモノを組み合わせるなどオブジェとして表現/フィルムコンパクトカメラ/被写体をくっきりさせるフラッシュ/Gucciのビジュアルを担当したことも/29歳の若さで自ら命を絶った。