東京との2拠点生活で変わった、ライフスタイルと眠りの環境
例えば眠る場所を替えてみる。それもまったく違う環境にしてみるというのも快眠につながる一つのアイデアかもしれない。三浦半島の先端、目の前に太平洋と富士山を望む「眺望良好」な場所で、東京との2拠点生活をするフィリップ・テリアンさんとパートナーのジゼル・ゴーさん。彼らのセカンドハウスは、戦後来日したアメリカ人写真家のホレイス・ブリストルが当時設計した木造家屋。
母屋と中庭を挟んだ離れにあるゲストルーム。2部屋のうちの1室はリビングのような造りだが、ソファがベッドになり就寝できる。インドのカンタはベッドカバーに使用。 
海沿いの崖の上に立つ邸宅は、中庭を抜けるとエントランスがあり、その先には太平洋が。長押（なげし）より上の欄間部分を取り除き、ガラスにしたことで光が入り、開放感溢れる家に。
自然環境の中に身を置き、睡眠の質も向上
3年前、初めて来た時は周辺は草木に覆われ、ジャングル状態。築75年ほど経過していた建物も廃屋寸前だったという。それでも美しい内装はそのまま残っており、なるべく既存の躯体（くたい）や意匠を生かしたままの改築を目指した。依頼したのは建築家の萬代基介（まんだいもとすけ）。一部増築したL字形の木造平屋の中で、寝室は海から一番離れた場所に設けた。
「僕は眠りが浅くて、すぐ起きてしまうので、波や風の音がなるべく聞こえないようにとお願いした。二重窓にしているので、寝室にいると強い風が吹いた時でも静かなんです」
現在、週の前半は東京で過ごし、木曜日の夜に三浦に来て、金曜日はリモートワーク、週末をゆっくり過ごすというライフスタイル。
「この景色を見たら元気になるし、じっくり考え事をする時間も持てるように。高速道路を降りた途端にもうあくびが出てくるから（笑）、リラックスしてるんでしょうね。本当にぐっすり寝られるんです」
サンルームからシームレスにつながる、海に面したウッドデッキ。遠くには富士山を望む。潮の香りや風の音の変化を肌で感じながら、ここでウトウト仮眠することも。 
庭で育てているペパーミントなどのハーブ類やタンポポ、フリーベインなどの雑草も採取してはドライにして料理に使う。夜寝る前にハーブティーを飲むのは習慣に。
周辺は18時には真っ暗。時間の流れもゆっくり感じられ、ワインを飲んで、食事してもまだ20時。早々にベッドに入り、寝室のプロジェクターで映画を観て、就寝。朝は6時に起床と、生活リズムも変化した。
「1週間の半分くらいはいるので、健康的になりました。眠る環境が違うだけで、こんなにも睡眠の質も変わるものだと実感しています」
ベッドルームのコーナーには、国内外で手に入れたオブジェやアートピースを飾る。寝る前にアロマやお香を焚（た）いたり、ヨガをしてリラックスしたりと快眠を心がける。 
寝室には〈DAMDAM〉と〈TIMBER CREW〉のコラボスツールを。
