鈴木大器(〈エンジニアド ガーメンツ〉デザイナー)
紹介してくれた人:小田木邦匡(〈WP lavori〉デザイナー)
Q
食のセンスとファッションのセンスは関係すると思いますか?
A
服作りと料理作りは似てるように感じます。しょっちゅう立ち寄る(ニューヨークの和食レストラン)〈嘉日〉は、ファーマーズマーケットで仕入れたローカルな食材を使って、どのようにしたらそれを日本食らしいメニューに落とし込めるか工夫しています。日本とニューヨークの魅力をどちらも引き立てようとするプロセスが自分のもの作りに近い感覚があります。
本物を再現するのではなく、参考にするという“いい塩梅”。そして服も食も最終的には接客に行き着く。ある程度の品質を超えるとスタッフの対応にかかってくる部分がありますからね。
Q
あなたの知っている“食のセンスのある人”は?
A
食べることが本当に好きなんだな、と思うのが川本(諭)さん。私と同じくニューヨーク在住で、たくさんの情報網を持っていて私が知らない店に精通している方なんです。
川本諭(プラントアーティスト)
Q
鈴木大器さんに“食のセンスがある”と言われていますが、率直なご感想は?
A
嬉しいです。僕がよく食べ歩いていることを知っていて、気に入った店はすぐに(鈴木)大器さんと共有しているからです。
Q
食のセンスとファッションのセンスは関係すると思いますか?
A
この2つに限らずセンスってすべてリンクすると思います。プラントアーティストをしていて、仕事に影響を受けるのがファッションだったり、食事からインスピレーションが湧くことも多いです。枠を超えてセンスという一本の線で繋がっているんだと思います。だから食にこだわってその器にこだわらないというのは考えられない。
その点〈東風〉はさっぱりとした蕎麦の味わいだけではなくそれに合うムードを内装や器からも感じられる。“やりたいことやり切ってる”という人となりが出ているモノが好きだし、そういったクリエイションに共感します。
Q
あなたの知っている“食のセンスのある人”は?
A
センスはすべて繋がると思うので、“やりたいことやり切ってる”山根(敏史)さん。ミュージシャンなのに、ファッションの仕事もしていて、そんなスタンスが面白い。きっと食事もハッとするようなお店を知ってるんじゃないかな。
山根敏史(オープン・ユア アイズ代表取締役、toe ベーシスト)
Q
川本諭さんに“食のセンスがある”と言われていますが、率直なご感想は?
A
僕で大丈夫ですか?人に比べてだと劣るような気がしますが、自分なりにおいしいお店は地方も含めて押さえてはいます。
Q
食のセンスとファッションのセンスは関係すると思いますか?
A
周りに気を使われたり、畏まったりされるのが苦手なので、どんな時もカジュアルな格好でいるようにしています。だから食事の際は、スーツでなきゃ入れない場所は選びません。理想は、この〈青い鳥〉のように旧友が営むお店で、完全に心を解放できる場所での食事。
気持ちが変われば、旨さも割り増しになる。で、ここのカレーが最高です。ただ適度にスーツに袖を通さないと着られちゃうので、いざっていう時のために、3ヵ月に1回は奥さんとカチッとした食事にも出かけています。
Q
あなたの知っている“食のセンスのある人”は?
A
うーん、悩みますね。元・職場の上司に多くのことを教わりましたが、最近なら相澤(陽介)さんですね。すごく繊細なもの作りをする方なのに、一緒に食事へ出かける時は大衆的な場所ばかり。おそらく相手への配慮だと思うんです。そんな店選びも、一つの食のセンスだと思うので。
相澤陽介(〈ホワイトマウンテニアリング〉デザイナー)
Q
山根敏史さんに“食のセンスがある”と言われていますが、率直なご感想は?
A
ありがとうございます。食事の時は会話をいちばんに楽しみたいので、慎重に店を選ぶようにしています。
Q
食のセンスとファッションのセンスは関係すると思いますか?
A
私の周りを見渡すと、自分に似合う服を知っているセンスのいい人は、だいたい自分がサマに見える店をわかっているんですよね。なにも気取ってない感じで…。結局は自身を客観視できることが大事なのかな。あと目的に合わせて服を選ぶように、食事する相手との話題を想定して、連れていくお店を選べる人もセンスがいいな、と。
普段よくブーツを履いている人がメンバーにいる場合は座敷はやめておこうとか、ファッションと同じように飲み屋選びにもTPOがあって、それはしっかりとおもてなししようというサービス精神に近いのかも。
Q
あなたの知っている“食のセンスのある人”は?
A
私の周りでいちばん自分がサマに見える店をわかっていると思うのが小野(光治)さん。創業100年以上の老舗から下町の屋台まで、幅広くディープな店を知っていて、連れていっていただくたびに感動しています。
小野光治(アートディレクター)
Q
相澤陽介さんに“食のセンスがある”と言われていますが、率直なご感想は?
A
いろいろと知っているわけではなくて、限られた行きつけがあるだけ。
Q
食のセンスとファッションのセンスは関係すると思いますか?
A
共通するものはあると思います。日々の暮らしで意識したことがないので具体的に何なのかはわかりません。ただ若い頃は“センス”という存在を今以上に意識していて、どこか作為的だったのかもな、と。それがダメということではないですが、受け手に感じ取られないことが大事。シンプルでおしゃれな人って、こういったことが自然にできている人なんだと思います。
センスに対して無意識になれたら理想なんですが、なかなかそうはいきませんから…。あとお金って稼ぎ方よりも使い方にセンスがよく表れるんですよ。服と食も、何を着るか、何を食べるかよりも、着こなし方と食べ方にセンスが表れる気がします。
Q
あなたの知っている“食のセンスのある人”は?
A
食のセンスというのは舌が肥えているということだけではなくて、座り方や挨拶、箸の持ち方、という総合的なことだと思います。(西山)徹は、本当にきちんとしていますよ。
西山徹(〈WTAPS〉デザイナー)
Q
小野光治さんから“食のセンスがある”と言われていますが、率直なご感想は?
A
大先輩にいつも食事に誘っていただいているだけでも光栄なのに、このような形で推薦をしていただけるとは恐縮です。
Q
食のセンスとファッションのセンスは関係すると思いますか?
A
モノの価値のハイとローを知ることで、自分にとってのいい(良い)加減を知ることができます。それって食べ物も洋服も同じだと思うんです。チープで、一見ジャンクなものであっても、場合によってはアリなんじゃないか、と思える。
服に譬えれば、フルーツ・オブ・ザ・ルームのアンダーウェアのように雑な作りの良さみたいなところも見えてくる。もちろんケース・バイ・ケースではあるんですが…。ハイなモノをきちんと知っておくことで、あえてローなものをチョイスする意味というのが大きく変わってくると思います。
Q
あなたの知っている“食のセンスのある人”は?
A
1日に3度だけの食事の機会を本当に大事にしている、と感じるのが(平野)太呂。一緒に出かけても、「なんとなく○○にする」という適当な店のチョイスはしないし、出てきたものは残さず食べる。一度の食事に対するこだわりが強い人だな、と。
平野太呂(フォトグラファー)
Q
西山徹さんから“食のセンスがある”と言われていますが、率直なご感想は?
A
いやいや、たまにはマックにも行くよ(笑)。ただこだわりたいとは思っていて、どちらかというとB級グルメが好きです。
Q
食のセンスとファッションのセンスは関係すると思いますか?
A
いい服、いい食ってお金を出せば体験できるものだと思います。ただブランドもので固めたり、それと同じで高級な天ぷら店には興味がなくて。いかに生活の中にスーと溶け込んでいるかが大事。ファッションのセンスと食の好みが近いことが自然なことですよね。そういう意味では、僕は潔いものが好き。
600円で定食が味わえる〈天婦羅 いもや〉のカウンターはヒノキの一枚板だったりとか、服ならハワイのスーパーのスーベニアTを着たり、どちらも力の抜けた雰囲気が好み。
Q
あなたの知っている“食のセンスのある人”は?
A
センスが合うな、と思うのが泰くん(小濱泰郎さんの愛称)。お互いスケーターだから偏った話になるけど、1994年から96年のサンフランシスコみたいな空気感がお互い好みなハズ。自分に近い感覚の人だからきっと食のセンスも信用できる気がします。どんな店を推薦するかも気になります。
小濱泰郎(ソックスデザイナー)
Q
平野太呂さんから“食のセンスがある”と言われていますが、率直なご感想は?
A
自分ではわかりませんが、嬉しいです。最近、鉄鍋を買ってから自炊ばかりで、店選びだけではなく、できる範囲で料理に使う食材も意識するようにしています。
Q
食のセンスとファッションのセンスは関係すると思いますか?
A
服も、食も、どちらも衝動的という部分は共通しています。「あの店で食事しよう」とか、「服を買いに行こう」と目的を持って出かけることは少なくて、たまたま出会って空気感がいいな、と思うものに惹かれます。どちらも落ち着く雰囲気があるかが見極めのポイント。
服なら着ていて楽と思えるか、店ならゆっくりと楽しめるか、という具合で。そこに人と少し違うセンスがあると、なお良し。静かで真っすぐ営んでいる店や、個性のある服を自然と選んでいる気がします。
Q
あなたの知っている“食のセンスのある人”は?
A
食に対しても、服に対しても、意識が高いと思うのが〈エンズ&ミーンズ〉のデザイナー、内山太郎さん。昔は逗子、今は伊勢を拠点に、自分のスタイルを貫いた生活を送っている。今度、伊勢のおすすめのお店に、連れていってください。