パフェ名人が考える
おいしいパフェの条件とは?
「関東一円のパフェは、ほぼ制覇しているかなぁ」。そう語るのは、パフェが評判の〈和光ティーサロン〉のシェフ パティシエ、相田紀昭さん。自身も子供の頃から大のパフェ好き。作る立場になったいまも、出先で見かければ、食べずにはいられない。いったい、どこに、そんなに惹かれるのか。
「そもそもアイスクリームが好きなんですよ。それが、フルーツなどと何層にもなっている。見ているだけでワクワクするじゃないですか」
そして、下へ、下へと食べ進めれば、宝探しのように食感や温度の違うパーツが出てきて、うれしいやら、楽しいやら。で、下まで辿り着いたら、今度は一つになったところを、もう一度。そんな楽しみ方を知り尽くしたシェフが考える、おいしいパフェの条件とはなにか。
「混ざっても味がブレない、味の組み合わせがシンプルなもの。そして、お腹いっぱいでも、飽きずに最後まで楽しめて、また食べたいと思えるパフェです」
そのため、チョコレートならバナナ、マロンならコーヒーと、合わせる味は、多くて2つ。チョコが主役なら、それを、アイスクリーム、ソース、クリームと異なるテクスチャーにして、変化をつけていく。使うチョコレートの種類やカカオ分をパーツによって変え、味にも濃淡をつけているのは、パティシエならではの技。あとは、食感のアクセントを加え、最後を酸味のあるフルーツなどですっきりと仕上げるのが、鉄則だ。グラスに作った空間も、見た目の美しさのためかと思いきや、詰め込みすぎず、残さず食べてもらう工夫だとか。そして、パフェ好きならではのこだわりが、もう一つ。
「いちばん上に、あれこれ飾らないこと。見た目は豪華になりますが、それを食べているうちにアイスなどが溶けてしまうでしょう」
定番のチョコレートパフェは、チョコの飾りが真ん中に一つ……。
「あ、これは飾りでもありますが、主役です。砕きながら食べていくと、アイスやクリームの食感のアクセントになるんですよ」
当初、冬限定として登場したこのパフェは、コーヒーなど温かい飲み物と合わせることを想定して、考案したという。まずは、飲み物を一口。口内の温度が上がったところで、チョコの飾りを食べると、口の中ですっと溶ける。そして、クリーム、アイスと温度の低いパーツへ進み、口の中がひんやりしたところで、再びチョコを口にすると、パリッと違う食感が楽しめて飽きないというわけだ。ンー、聞いているだけでも、リピートしたい気分になってくる。
人気のパフェグラスの中、全部見せます
2011年に冬限定で登場
酸味のあるバナナピュレに出合うまで試行錯誤
完成まで1ヵ月半費やした
Size
H 180mm
W 110mm