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小津安二郎のこだわりを覗く。彼が愛したモノと仕事術

言わずと知れた日本を代表する映画監督・小津安二郎。彼のつくり出す繊細で緻密に設計された映画世界は、どんなこだわりによって支えられていたのだろう?愛したモノや仕事道具から、彼のこだわりを覗いてみる。

初出:BRUTUS No.767「小津の入り口。」(2013年11月15日発売)

photo: Yozo Yoshino / text: Yohei Kawada / cooperation: National Film Center, Kamakura Museum of Literature, Kawakita Memorial Film Institute, Akiko Ozu, Kimiko Kanno, Masao Hamada

小津が愛したモノ

その人が愛したモノを知れば、その人の生き方が見えてくる。映画作品のみならず、人生そのものについて語られることも多い小津は、一体どのようなモノを愛で、生活の中で使用していたのだろうか。そこに隠されたエピソードから、巨匠の意外な一面を探る。

小津の仕事術

小津映画が持つ繊細で緻密な世界は、果たして、どのように構築されていったのだろうか。その手掛かりとなるのは、遺された自筆シナリオやスケッチブックの数々。そこに記された丁寧で手作り感溢れる小津の演出術には、作品を支える彼の人間性が滲み出ていた。

小津の直筆絵コンテを公開

小津安二郎の仕事術

手描きにこだわる

小津安二郎の仕事術 ラフのメモ
直筆の『お早よう』の題字ラフ。実際のタイトルバックにも、このデザインが採用されており、黒字は白字に変更する構想もメモで記されている。右上の直筆シナリオ同様、小津は空いた時間などでも常に手を動かして何かを描いていた。

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小津安二郎の仕事術 衣装の生地サンプル
小津組に衣装提供していた浦野繊維染織研究部が小津に納めていた衣装の生地サンプル。通称“衣装裂”。実際に着用した衣装の生地をまとめ、美術担当に管理を徹底させていた。ほかに、衾紙のみを切り貼りしたサンプルノートなども。

セットを造り込む

小津安二郎の仕事術 セットのラフ
俳優を入れる前にセットだけの写真を撮影すると言われたほど、セットの造りにもこだわるのが小津流。ローアングルで撮影するため、実際よりも奥行きを長く設定した廊下を造るなど、理想の構図を手に入れるための工夫も。