松竹と〈BEAMS JAPAN〉といえば、大好評だった映画『男はつらいよ』でのコラボが記憶に新しい。そして今年、小津安二郎生誕120年を迎え、再び記念すべき節目を盛り上げることに。
雑誌『BRUTUS』が特集「小津の入り口。」を出したのが10年前。映画監督・小津安二郎という人が、どれだけこだわりの人だったか、詳細にわたって特集したことを覚えているだろうか。本人もたいそうオシャレな趣味人だったが、映画は衣装や小道具、消え物（食べ物）に至るまで、“小津好み”と呼ばれるこだわりに溢れていた。
〈BEAMS JAPAN〉でなければ成し得なかったコラボレーションは数多い。全国各地に張り巡らされたアンテナが具体的なアイデアとなり、そのものズバリではなく、“小津好み”の世界観を見事に凝縮した、ファンに愛されるプロダクトとなって結実した。
小津監督が青年時代を過ごした三重県。松阪の名産「松阪もめん」や、「脚本作りに欠かせない」と語っていた長野県・茅野の清酒「ダイヤ菊」（戸田酒造）などはその一部だが、ほぼすべてのアイテムに長場雄さんが描いたアートワークが配された。長年のファンはもちろんのこと、このコラボレーションをキッカケに、新しい小津ファンも生まれそうで、周年が大いに盛り上がりそうだ。早速、チェックしてみよう。
【小津安二郎のアイコン】ピケ帽
小津監督の代名詞といえば、白いピケ帽。これを〈銀座トラヤ帽子店〉監修のもと、オリジナルで制作。限りなく近い形で再現。予約制で販売される。12月納期予定。サイズはMとL。9,900円 
〈銀座トラヤ帽子店〉は大正6年創業の老舗。太い畝のピケ織りの生地を使用。今回は茶色も用意。9,900円
【小津の赤】月兎印スリムポット
座卓の下に赤いやかんが見える。ところどころに赤を配置し、効果的に見せている。
小津映画の特徴といえば、画面を引き締める赤。これも“小津好み”として知られる。初のカラー作品『彼岸花』では、形こそ違えど、赤いやかんが象徴的に扱われる。月兎印のポットの蓋が、やかんのつまみのように黒くペイントされている。5,500円 
底面にはアニバーサリーの焼印を入れた。
【ローアングルに欠かせないもの】座卓（天童木工）
座卓は小津映画に欠かせない小道具。ローアングルも、少しだけ天板が見える高さに設定された。
小津映画が作られた昭和初期から30年代あたりまで。まだまだ日本の家庭ではちゃぶ台が一般的だった。畳に正座して向かい合う食卓に、小津のローアングルが迫った。今回、この杉材の座卓を作ったのは〈天童木工〉。129,800円 
天板から美しい曲線を描く脚が特徴的。裏面にはアニバーサリーロゴの焼き印が入る。
【手書きのタイトル】お盆（鎌倉彫）
映画のタイトルも当時は手書き。作品によってバックグラウンドと字体が違い、味わい深い。
映画のタイトルバックは、まだ手描きの時代。代表的な9作品のタイトルを刻んだ、鎌倉彫のお盆。鎌倉は多くの作品の舞台であり、小津も住まいを構えた地。工芸品でありながら、当時のフォントもできるだけ忠実に再現した。 
裏面は映画の「終」の1文字。
【記憶に残るシーンには食べ物があった】食品サンプル（さんぷる工房）
ガキ大将の亀吉が、その強さの源としてすずめの卵を飲み干す。当時の子供社会を描く象徴的なシーン。
食品サンプルで有名な岐阜県郡上八幡〈さんぷる工房〉で作られた、キーホルダー。どれも映画作品内で存在感を示すものをモチーフに、秀逸の出来。どれもリアリティ抜群で、その技術力の高さに驚く。とんかつ1,760円、すずめの卵1,430円、ショートケーキ2,200円 
『秋刀魚の味』では画面には映らないものの、「とんかつ」を食べるシーンがある。正確には台東区〈蓬萊屋〉のヒレカツが小津好み。脂身や衣にまでサクサクジューシーにこだわって作った。 
こちらはうずらの卵ではなく、『生まれてはみたけれど』に登場したすずめの卵。キーホルダーには小津のピケ帽を型取ったチャームが付いている。 
「麦秋」の1シーンで原節子演じる間宮紀子が食べていたショートケーキ。上に載ったチェリーや、クリームのデコレーションまで、忠実に再現した。
【小津監督が青年時代を過ごした三重・松阪】バッグ（松阪もめん）
長場雄さんの描く小津安二郎監督。ひと目でそれとわかる象徴的なカットだ。12,100円 
こちらは、オリジナルで作られた松阪もめんの生地。 
『東京物語』のあの名シーンがトートバッグに。12,100円 
松阪もめんの産地は、小津監督が青春時代を過ごした三重県松阪。牛肉でも有名な場所。 
スマホや財布などもこれ１つにまとめられそうなスマホケース。6,600円 
デバイスのケーブル類などをしまうのに重宝しそうなポーチ。3,520円 
〈BEAMS JAPAN〉と生誕120年のアニバーサリータグの両方がつく。
【呑んで脚本を書いた蓼科】ダイヤ菊（戸田酒造）
【定宿にしていた茅ヶ崎の宿】湘南ビール（熊澤酒造）
【長場雄の描く小津の世界】
