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現代美術家・岡本亮が通う、目利きの店。羽根木〈Out of museum〉

店の雰囲気、品揃え、店主やスタッフの人柄。思わず足を運んでしまう理由は人それぞれ。目利きたちに聞いた、“信頼できる店”とは。

photo: Jun Nakagawa / text: Emi Fukushima / edit: Chizuru Atsuta

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セレクター:岡本亮(現代美術家)

インスタグラムでたまたま見つけて惹きつけられたのが〈Outofmuseum〉。世界で見つけたオブジェや昆虫、植物、民俗学的なグラフィックがランダムに投稿されていて、ものを売るお店のはずなのに、宣伝しようとする姿勢をまるで感じないところが気になっていました。そして実際に足を運んでみたら、どんな想像も超えるカオスなお店でしたね。

羽根木 Out of museum 店内
写真右側に映る目玉焼きのオブジェ「Sunny-side up」は小林さんが30年ほど前に作ったオリジナル作品。再販売を繰り返していて、岡本さんも購入したほか、海外からのお客さんにも人気。

最大の持ち味は、店主の小林眞さんにしか成し得ない独特のコレクション。メキシコのある村で見つけて持ち主にしつこく頼み込んで譲ってもらったという竹でできたガイコツがあったり、何の動物のものかわからない化石や骨があったり、どこかの村の小さな商店のものであろう看板があったり。アジアやアフリカ、南米をはじめ世界の各地から、琴線に触れて“捕獲”してきたものがずらりと並んでいます。

かと思えば、フェイクの骨や化石、フランスのアンティークショップに並んでいそうな乳白色の目玉焼きのオブジェなど、小林さんが自ら作った作品もちょこちょこ紛れ込んでいる。高価なものも安価なものも、本物も偽物も、貴重なものもそうでないものも、すべてがごちゃ混ぜにひしめいているのが面白いんです。小さなお店ですが、どれも気になって、最初に訪れたときは2時間近く居座ってしまいました(笑)。

僕も骨董や自然物が好きで、収集してショップ〈集集〉で販売しています。そのときに大事にするのは“売っていないもの”を売ること。なんでもネットで検索して購入できる今、自分では辿り着けないものに出会えることこそリアルなお店の価値だと思うんです。〈Out of museum〉はその真骨頂。

画一的な“売り物”に溢れた今、セレクターの審美眼を通して集まった未知のものと出会いに、足を運びたくなります。

羽根木 Out of museum 店内
幼少期から自然物採取を始めていたオーナーの小林さん。国内外問わず60年以上にわたり集められてきたものが所狭しと並ぶ。

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