教えてくれた人:土屋智哉(〈Hiker's Depot〉店主)
極めてミニマムな
道具を揃える。
「アウトドアの醍醐味は、自然の中に身を置くことで感覚や感性が研ぎ澄まされること」と土屋智哉さん。
だからこそ「軽くてシンプルな道具で歩こう」という“ウルトラライト”なアウトドアスタイルを提唱している。
「ウルトラライトの哲学は“自然とつながる感覚を尊ぶ”というもの。自然と自分の間にある道具を少なくした方が、自然により深くコミットできるという考え方です。
例えばソールが厚く、足首までホールドしてくれる重登山靴は安心ですが、足裏が地面に触れる感覚を得にくくなる。
それに道具に守られすぎると、どういう箇所が危険かなど、自分の危機管理能力が置いていかれてしまいます。せっかく自然の中に入っても、その体験から“学ぶ”機会を失ってしまうのは、もったいない」
「まずはミニマムな装備で近所の小さな山を遠足感覚で歩いてみたらいい」と土屋さん。そこで得た学びから、必要な道具を増やしていけばいいのだ。
キャンプ
キャンプ場に家財道具を持ち込んで飲んだり食べたりすることだけが“キャンプ”じゃない。森の中にハンモックを吊って、空を見上げながらコーヒーを飲む。静かで小さなデイキャンプは、自然との距離をぐっと縮めてくれるはず。
1:バックパック一つで軽やかなキャンプを。
ミニマムな道具なら中サイズのバックパックで完結。荷物の量に合わせて容量を変えられるパックが便利。パックの重量も軽くして、軽やかに。ピカ パック HD ver. 20/20〜30L、340g。¥26,400(Zi㎜er Built/ハイカーズデポ TEL:0422-70-3190)
2:持ち運べる布団で心地いい森の昼寝。
ハンモックで昼寝したいなら、一般的な袋型より布団型の寝袋を。掛け布団にも敷き布団にも、さらにはブランケットとしても使えて汎用性高し。フラップラップⅡ/150×170cm、約340g。¥24,750(ハイランドデザイン/ハイカーズデポ)
3:小さな火でも十分幸せ。
固形燃料一つで煮炊きができる超小型ストーブ。小枝を使った焚き火も可能。ナノストーブ ボックスセット/W8×D8×H12cm*使用時、本体170g。¥10,450(ファイヤーボックス/アウトドアギアマニアックス TEL:047-339-8508)
4:限られた道具で料理する楽しみを。
ソースパン、フライパン、ハンドルを収納できるセット。炊飯、ラーメン、炒め物など、知恵を絞って色々な調理に挑戦するのも楽しい。ミニセット/φ15×7cm*収納時、183g。¥3,080(トランギア/イワタニ・プリムス TEL:03-3555-5605)
5:泊まりなら必須。日帰りでも念のため。
デイキャンプでも万が一のためにライトは携帯。手のひらサイズの小型ランタンなら荷物にもならない。夜でも十分な明るさ。ML4/φ2.9×9.7cm、約71g*電池含む。¥4,950(レッドレンザー/レッドレンザージャパン TEL:03-5637-7871)
6:ツリーフレンドリーなハンモックストラップ。
軽量&コンパクトでも耐荷重136kgと頼もしい。樹木に掛ける部分は幅広かつ柔らかい素材で、木肌を傷つけにくい。ヘリオス ウルトラライト サスペンションシステム/長さ2.46m、約122g。¥4,950(イーノ/サンウエスト TEL:03-3544-2751)
7:森に包まれるようなナチュラルベッド。
森の中に浮かび、木々に抱かれる感覚になれるハンモックは全方位から自然を体感できる。携行性・耐久性・速乾性・通気性を備えたモデルがいい。サブ6 ウルトラライト ハンモック/約2.7×1.2m、約164g。¥10,450(イーノ/サンウエスト)
8:いつものコーヒーも森の中では絶品に。
保温性の高いボトルがあれば、朝、家で淹れたコーヒーも熱々のまま。塩分を含むスープなども入れられるモデルだと、なお使い勝手が良い。コップ付保温保冷ボトル/φ7.4×26.9cm、640ml、約500g。¥6,600(Mizu TEL:03-5815-5720)
山登り
ミニマムな道具で小さな山を遠足のように歩く行為は「自然とつながる感覚」をダイレクトに感じられる。地下足袋のようなベアフットシューズで地面を感じ、川や沢の水を浄水して飲んでみたら、自然を受け入れる感性が目覚めそう。
1:軽いのにタフな頼れるバックパック。
軽やかに歩きたいなら軽量なパックを。ライトでも耐久性があり、背負い心地抜群。防水性のある生地で、雨用カバーを準備する必要もない。サミットパック/30L、360g。¥28,600(ハイパーライトマウンテンギア/ハイカーズデポ)
2:地面の凹凸も楽しみ、踏みしめながら歩く。
地面の感触が足裏に伝わるシューズで歩くと、凹凸や勾配の変化に意識的になる。湿った路面はどう歩けばいいかなど、発見と学びを得られる。メンズ メサトレイル/215g*片足・27cm。¥14,300(ゼロシューズ/ケンコー社 TEL:06-6374-2788)
3:ヘッドランプはお守り。ミニサイズを常に携帯。
日帰り登山でも少し下山が遅くなると真っ暗に。超ミニなヘッドランプなら、バックパックのポケットに常に入れておける。USBポート経由で充電できる。ビンディ/35g、光束200ルーメン。¥5,940(ぺツル/アルテリア TEL:04-2968-3733)
4:川の水はどんな味?浄水して飲んでみる。
沢や川の水を飲料できるレベルまで浄水できるフィルター。色々な山の水を飲み比べてみよう。クイックドローマイクロフィルター&リザーバーシステム1.0L/101g*本体+リザーバー。¥6,050(プラティパス/モチヅキ TEL:0256-32-0860)
5:完全に守られない。だからこそ面白い。
通気性に優れた超軽量レインウェアは晴天時の羽織りにも。保温性はそこまで望めないが、そこを補う重ね着や悪天候への対策を考える機会をくれる。UL オールウェザー ジャケット/M144g。¥38,500(山と道 info@yamatomichi.com)
渓流釣り
自然からのリアクションをダイレクトに感じたいなら、竿と糸、毛ばりだけで渓流の魚を狙うテンカラ釣りがいい。道具も釣り方もシンプルゆえ、魚との知恵比べが肝。川の流れや形状、魚の習性を学び、静かな自然との対話を楽しもう。
1:散歩気分で釣りに行っちゃう。
道具の少ないテンカラ釣りはサコッシュ一つで。高めのポジションのものなら歩行を邪魔せず、肩掛けのまま竿を振れる。ハイカーサコッシュ BBスタイル/25×30cm*肩紐92cm、36g。¥3,795(ハイランドデザイン/ハイカーズデポ)
2:サコッシュに入る超コンパクトな竿。
収納時は25cmまで短くなる携行性抜群のテンカラ竿。サコッシュに入れて手ぶらで歩けば、渓流でのポイント移動もストレスフリー。テンカラ ミニ2715/全長2.7m、収納サイズ25cm、継数15本、50g。¥22,000(宇崎日新 TEL:0795-76-0138)
3:万が一の道具も小さく、抜かりなく。
重すぎると携帯がおっくうになるエマージェンシーセットも小さく、軽いのがいい。ホイッスルや着火剤、裁縫道具など、最低限のアイテムが入ったキット。スカウト/H6×W3.75×D1cm、153g。¥5,280(SOL/スター商事 TEL:03-3805-2651)
4:手のひらの中にナイフとハサミを。
長さ約6cmほどのマルチツールには、釣りに欠かせないハサミやナイフのほか、道具の修理に使えるプライヤーも内蔵。スクオート PS4/全長5.7cm、ナイフ刃渡り4cm、56g。¥7,480(レザーマン/レザーマンツールジャパン TEL:0575-23-5103)