シェフが提案するアウトドアレシピ。手際が命のワイルド魚料理

骨も内臓も丸ごといただく魚料理は、キャンプ好きなシェフならではのお手軽レシピ。見た目も味も大満足!

Photo: Kiichi Fukuda / Illustration: Yoshifumi Takeda / Text & Edit: Chisa Nishimori

材料も手順も、無駄を省いた
手際が命のワイルド系魚料理。

アウトドア派の父の影響で、幼い頃から釣りやキャンプに親しんできたという〈Äta〉の掛川哲司さん。

「僕のアウトドア魚料理は、基本ワイルド。川や海辺にテントを張り、釣った魚をその場で調理。っていうのが本来一番楽しいけれど、今日は築地で仕入れてきました。屋外で料理をする時、切り身を持っていくのでは少し味気ないから、骨や内臓も丸ごと食べられる魚が理想的。さばく手間も省けるしゴミも減らせるので片づけもラクです」

まず取り掛かったのは、50㎝もあろうサクラマス。小さなペティナイフで身を切り出し、炭火にドン!この日掛川さんが持ってきたのは、この小さなナイフ1本だけ。弘法は筆を選ばず、だ。そばではトレビスとイワシ缶に火が入っていく。その間、手早くソースを仕上げると、焼き目のついたトレビスを粗めにちぎって皿にのせ、その上に熱々のイワシ、トマトたっぷりのソースを盛る。別の皿にはトマトのスライスが並べられ、焼き上がったマス、ブッラータチーズがのる。

アウトドアで重宝する缶詰にひと手間加えたイワシ缶のアレンジ料理。缶に残ったオイルもニンニクを投入して残さず使える。
BBQ アウトドア 魚料理 シーフード
熱々に焼いたサクラマスにフレッシュなトマトとブッラータチーズを組み合わせた一品。アツアツ×冷や!がベストマッチ。

「熱々と冷え冷えが今日のテーマかな」

と、ものの30分であっという間に2品完成。なんという手際の良さ!メインはアユの包み焼きだ。最初の2品を堪能しながら、じっくり火が通るのを待つ。湯気が立ち始め、アルミの表面がグラグラしてきたら完成の合図。包みを開いた瞬間、レモングラス、コブミカンの爽やかな香りがパァ〜と広がり、歓声とともにぷっくりと蒸し上がったアユが姿を現した。

アユを丸ごと使ったアジアンスパイスが香るホイル包み焼き。フワッフワに蒸し焼きにされたアユはハラワタまでペロリだ。

アユのオリエンタル包み焼き

材料(1食分)
アユ3匹、エシャロットの輪切り2個分、レモンの輪切り1/2個分、ライムの輪切り1/2個分、トマトの輪切り1/3個分、ニンニクの乱切り2個分、コブミカンの葉4枚、レモングラス10g、バター50g、白ワイン大さじ1、オリーブオイル大さじ2、塩適量、パクチー適量

作り方
①アルミホイルの上にクッキングシートを敷き、輪切りのレモンとライムを交互に並べる。その上にコブミカンの葉、トマト、両面に塩を振ったアユ、エシャロットの順に重ね、レモングラス、ニンニクを散らす。再びレモンとライム、コブミカンの葉、エシャロットを重ね、バターを入れ、白ワイン、オリーブオイルを回し入れて開口部を閉じて包み込む。


②火にかけて20分ほど焼き、包みがグラグラと沸いてきたら封を開き、仕上げにパクチーを散らして完成。

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レモン&ライム→アユ→レモン&ライムと重ねるのがポイント。

サクラマスのロースト

材料(1皿分)
サクラマスの厚めの切り身2枚、トマトの輪切り1個分、サルサベルデ大さじ1、ブッラータチーズ2個 、ディルの葉1本、オリーブオイル適量、塩適量、黒コショウ適量

作り方
①サクラマスの両面にしっかり塩を振り、炭火で両面を焼き、片面にサルサベルデを塗る。


②皿に厚めの輪切りにしたトマトを並べ、軽く塩を振りオリーブオイルを回しかける。


③ ②に熱々のサクラマスをのせ、ブッラータチーズをのせ、黒コショウ、オリーブオイルを回しかけディルをあしらい完成。

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サクラマスの表面に塗るサルサベルデが味のアクセントに。

トレビスとイワシの缶詰マスタードソース

材料(1皿分)
イワシの缶詰1個、トレビス1/2個、A[ミニトマト10個、エシャロットのみじん切り1/2個分、つぶマスタード大さじ1、ビネガードレッシング大さじ3、ケイパー小さじ1、黒コショウ少々]、アサツキの小口切り3本分、塩適量、オリーブオイル適量

作り方
①イワシの缶詰を火にかけて温める。


②半分にカットしたトレビスの両面に塩を振り、オリーブオイルをかけて直火で両面焼く。


③ミニトマトを半分に切り、ほかのAの材料と一緒にボウルに入れて混ぜる。


④焼けたトレビスを粗く手でちぎって並べ、その上に温まったイワシを置き、を豪快に盛り、アサツキを散らして完成。

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トレビスは、外側の葉にほんのり焼き目がつくくらいでOK。