温冷浴の快感を知ってしまった
3人が語る銭湯愛
桶美
今日は大阪一、いや日本一おすすめの銭湯〈末広温泉〉にやってきました!
ここはまず入る前から強烈!建物の壁だけじゃなく、駐車場にまでいろんな言葉が書いてあるんです。
牧田耕平
“温冷浴をせずに帰る人は高級レストランで食事して、ライスだけ食べて、あとは残して帰るのと同じ”とかね。
それはここの番頭が推奨する、昭和初期の医学者・西勝造博士が考案した西式温冷浴を広めるためのメッセージなんやって。
桶美
西式温冷浴はただの温冷浴ではないんです。水風呂1分、熱い湯1分が1セットで10回繰り返す。大分にも似たような温冷浴法があるんですけど、全然違う。
ANI
まず水風呂から入るでしょ。最初はもう冷たくて冷たくて。水牢に入るってこんな気分なのかもって。
牧田
でも銭湯に行く目的の半分は、水風呂に浸かりに行ってるようなもんですよね。
ANI
たしかにそうかも。
桶美
〈末広温泉〉では、温冷浴のために、湯温が常に45℃をキープするよう調整されているのもポイントが高いですね。
牧田
そもそも自分は最初サウナにハマっていたんですよ。仕事のストレスを忘れるためにスーパー銭湯に通ってたんですけど温冷浴を知って以来、こっちの方がいいな、って。
桶美
温冷浴こそ、大阪銭湯の醍醐味なんですよ。温冷浴には水と湯の条件によって、気持ち良さにバリエーションがあるんです。
水風呂が地下水だと全身スッキリ。お湯の温泉成分が強いと、ほろ酔いみたいな気持ち良さを感じることが多い。大阪にはそのバランスがいい銭湯がいくつかある。なかでも源泉掛け流しの〈トキワ温泉〉は特に温もりが持続する。
ANI
なるほど。
桶美
だから、いろんな人に体験してほしいんですよ。おいしいご飯屋に友達を連れていく感覚と一緒で。毎月、銭湯ご新規さんを10名連れていくことに決めてます。たまに、銭湯でイベントもしてます。
牧田
タオルとかスエットとか、オリジナルグッズも作ってるもんね。
ANI
大阪っぽいね。銭湯では土地柄に触れられるのもいい。摂津にある温浴施設も好きだな。
桶美
〈祥風苑〉!お湯がトロトロの。
いつもANIくんと一緒に銭湯に行く時に思うんですけど、ANIくん、サウナ入らないですよね?
ANI
うん。サウナより温冷浴が好きだから。サウナって時間がかかるでしょ?少なくとも1時間は。
牧田
たしかに、いつもお風呂から上がるのが早いですよね。
ANI
30分くらいかな。まぁそれでリセットできるから。入ってる時はなにも考えないね。歌詞のアイデア?なにも出てこないねぇ~(笑)。
無ですよ、無。無になるために入ってるから。
桶美
禅の世界(笑)。
ANI
もうゼロになりたい(笑)。
末広温泉での正しい入浴作法
深い湯船に通称、縁側。
銭湯文化が独自に発達。
桶美
大阪の銭湯の良いところは総合的にクオリティが高いところかな。特にナニワ工務店(大阪の公衆浴場専門のリフォーム会社)が手がけているところは。
牧田
そう。ほかに比べて、すべてのバランスがいいと思う。
桶美
例えば湯船。大阪の銭湯は全体的に深め。平均で90cmくらいかな。底に座ったら頭まで浸かってしまうほど!東京は浅いでしょ?
ANI
あー、そうかもしれない。
牧田
大阪人は湯船内で体に圧がかかるのが好みらしいですからね。
桶美
あと、大阪の銭湯には湯船の周りに座るとこあるでしょ?〈トキワ温泉〉や〈朝日温泉〉にもある。
牧田
通称、“縁側”ね。
桶美
“縁側”で座れるのがいい!
牧田
ちなみに、暖簾をくぐる前に支払うフロント式のシステムは大阪から広がったらしい。
ANI
へー、初耳。
牧田
現在、銭湯として登録されている数は東京は約500軒だけど、大阪は370軒ほど。人口比で考えると、東京より少し多め。それだけ今も生活に入り込んでる。
桶美
でも、やっぱり大阪には〈末広温泉〉がある。それが一番かも。東京にはないでしょ?
ANI
ない!そういえば〈末広温泉〉の浴室の壁にオチンチンって書いてあるけど、女風呂にはなんて書いてあるのかな。
桶美
女風呂もオチンチンです。
ANI
なんで知ってるの?(笑)
桶美
すごく気になって、入れてもらったことあるんです(笑)。
温浴施設愛好家・桶美がセレクト!
おすすめ銭湯ベスト3
〈末広温泉〉だけじゃない。温冷浴に最適な浴槽を完備した素晴らしい温浴施設がほかにもあるという。桶美さん、お気に入りのお風呂に連れてって!
山空海温泉(妙見口)
硫黄泉掛け流し水風呂の秘湯
ここにあり
能勢の山あいに突如現れる温泉マーク。ここは硫黄泉の掛け流しで、熱い湯、ぬるめの湯、そして源泉の水風呂の3種が楽しめる。
「おすすめは水風呂の冷たい源泉。体にジワジワと浸透する気持ち良い感覚。それがほかとは違います」。
トキワ温泉(神明町)
堺の温泉銭湯
レトロな昭和風情も
「ここは源泉そのままの掛け流しなのがいい。だから湯船は上段の浴槽=一番フレッシュな源泉が湧いている位置がベスト」。地下1,300mから湧く、少し熱めの44.5℃の源泉に銭湯料金で入れてしまう町中温泉。
創業は昭和32(1957)年で、平成6(1994)年から温泉に。番台式で昔ながらの脱衣所の鏡も味わい深い。
朝日温泉(長居)
長居の名物
通称イベント銭湯
「ナニワ工務店が手がけた銭湯は間違いなし!ここは水風呂が平均13℃で冷たいところもポイント」。桶カーリングなどを行う『オフロンピック』や落語会、ライブを定期的に開催。天井が高く採光も良いので昼風呂にもってこい。毎月8日・9日はパクチー風呂も。