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フローリスト直伝、ランを生けるテクニック。朽ちるまで愛でる

花の命を最後までちゃんと楽しみたい。買って帰った初日から、家に馴染んだ数日後、枯れ際の2、3日まで。花の状態に合わせて生けるテクニックを、通年手に入る日持ちするランを例に教わった。

Photo: Joji Okamoto / Text: Yuka Uchida

長持ちする特性を生かして
最後の一輪まで優雅に愛でる

ランは日持ちのする花。1週間程度では見た目に変化がないことも。上手に水換えすれば1ヵ月以上楽しめる。

「挿すだけでさまになる花なので、初日はシンプルに。数日経って変化が欲しいなら、アンスリウムなど個性的な花を足すと、印象ががらりと変わります」と岡本さん。

初日

購入初日のラン
花が連なる姿を生かして、まずはシンプルに。

数日後

購入数日後のラン
個性の強い花を足して、雰囲気を変える。

足す花は、ランに負けない個性的な品種を選ぶとまとまりやすい。

「ランは熱帯の花なので、同じく熱帯の植物や花を選ぶと馴染みやすい。極楽鳥花と呼ばれるストレリチアもよく合います」。

ランは茎の下から一輪、また一輪と傷んでいく。朽ちた花は優しく手でちぎり、バランスを見て茎をカット。
「最後の数輪になったら、グラスの縁に引っ掛けるようにして飾っても。脚付きグラスなら、ランのエレガントな雰囲気にもよく合います」。

枯れ際

枯れ際のラン
残った数輪も、脚付きグラスで華やかに。

日持ちさせるコツは吸水力を上げること。
「茎の下2、3cm分の薄皮を削ぐと水を吸いやすくなります。ダリアや枝ものにも使えるテクニックです」。

ランほど日持ちする花は少ないが、最終日の生け方は、モカラやデンファレといった、小さな花が連なり、一輪ずつ朽ちていく花にも応用できる。

花を長持ちさせる
基本テクニック

1.清潔な花瓶。

花の大敵は水中で増殖するバクテリア。花瓶は使う前にしっかりと洗剤で洗うこと。一輪挿しなどスポンジの入らない花器は薄めた漂白剤を入れて数時間置けばOK。水換えのたびにスポンジで洗う習慣をつけよう。

2.よく切れるハサミ。

切れ味の悪いハサミを使うと、茎の断面が潰れ、水を吸い上げにくくなる。斜めに切る、水中で切る、茎を焼くといったテクニックもあるが、切れ味の良いハサミを使うのは基本中の基本。ぐっと花持ちがよくなる。

3.気温の気配り。

切り花は直射日光やエアコンの風に弱く、そうした環境下では一気に弱ってしまう。そのような場所を避けて飾ったり、外出時は家の中で一番涼しい場所に花瓶ごと移動させるのもいい。少しの気配りで持ちが変わってくる。